昨今の健康経営の広がりにより、働く人がストレスチェックを定期的に受ける制度がメンタルヘルス対策として浸透した。
そのストレスチェックの最近の結果にはコロナ禍の影響が見られるという。専門家の分析を聞いた。
【身体的負担と疲労感のストレスが前年より増加】
ストレスチェックとは働く人のストレス状況を定期的にチェックする検査だ。働く人は質問に答えることで、自身のストレス状態を知ることができる。検査結果を分析することで職場環境の改善に生かし、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐ目的で2015年から50人以上の事業所には年1回の実施が義務付けられている。
「昨22年度の結果では前年に比べ身体的負担と疲労感というストレス尺度が特に悪化していました」と指摘するのはストレスチェック研究所の服部恭子チーフアナリストだ。
同研究所は企業の健康管理や職場環境改善のサポートをする株式会社ドクタートラストの研究機関であり、同社の受託したストレスチェックサービスの結果を継続して分析している。総計41万人のデータから働く人の疲れが悪化している傾向が読み取れるという。
服部さんの指摘した働く人の身体的負担は「からだを大変よく使う仕事だ」という設問に対する回答者の「そうだ、まあそうだ」「ちがう、ややちがう」という回答状況に表れている(図表1)。22年度の結果は前年に比べて「そうだ、まあそうだ」という回答が3ポイントも増加した。
また働く人の疲労感は「ひどく疲れた」「へとへとだ」「だるい」という3つの回答状況に明らかだ。いずれも前年より悪化したデータが出ている(図表2、3、4)。
【悪化の理由は?】
こうしたストレスデータの悪化にはコロナ禍の影響が見られるのでは、と服部さんは分析する。
「身体的負担が特に大きかった業種、職種は生活関連サービス業と娯楽業でした。コロナ初期に大きなダメージを受けたこれらの業種、職種は制限解除に伴って人手不足傾向が顕著になっていて、働く人たちの身体的負担というストレスを増加させることにつながったと考えられます」
また疲労感の悪化データも働き方に対するコロナ禍の影響がうかがえる。コロナによってテレワーク勤務や外出自粛が広まったが、それによって働く人は運動不足の傾向が顕著だ。
そういう中で、徐々に出社しての勤務が増えたり、従来は控えていた出張なども少しずつ増加しつつある。このため、働く人の多くが体力的に疲労を感じているのは不思議でない。
「出社すると対人コミュニケーションも増加します。それが苦手で精神的な疲労を感じている人もいるかもしれません」とも服部さんは分析してくれた。
ストレスチェックの結果、ストレスの自覚症状が高い人は「高ストレス者」とされる。この高ストレス者の全体の中での割合も前年より増加傾向にあるという。一方、ストレス項目の中でも前年より減少したものもあるそうだ。よくなった項目とはどんなストレスなのか。その点を次回は尋ねる。

















