ボートレース福岡のSG「第69回ボートレースメモリアル」が22日に開幕する。全国各レース場から推薦されたレーサーなどが出場する格式高い大会。ボートレースファン歴45年、元天才ジョッキーの異名を取る田原成貴氏(64)は初日ドリーム戦メンバーを見た瞬間、ある「宿命」を感じたという。その真意とは?

【田原成貴氏が熱く語る】先月の児島オーシャンカップ優勝戦、羽野直也選手(福岡)が5コースからまくり差しでSG初優勝を成し遂げた。羽野選手の鮮やかなハンドルはボートレースファンの心に刻まれただろうし、1Mで茅原悠紀選手(岡山)の2コースまくりに抵抗し、撃沈覚悟で張って回ったイン馬場貴也選手(滋賀)の心意気も見事だった。

 その優勝戦の翌日、一通のLINEが届いた。その日に発表されたボートメモリアルの初日ドリーム戦メンバーが記載されていたが、オレは見た瞬間に「何という因縁か…」と思った。前日の優勝戦と同枠番の1号艇・馬場選手、5号艇・羽野選手の名前があったからだ。厳密には優勝戦の時点でドリームメンバーは発表前だったが、各地区の賞金上位順という選考基準があるため、枠番はすでに決まっていたはずだ。激戦を演じた主役2人が、偶然にも次のSG初日に同枠で再戦――。まさに神様が脚本を書いたような展開である。

今回のドリーム戦も5号艇の羽野直也
今回のドリーム戦も5号艇の羽野直也

 スポーツにおいて「因縁の対決」「宿命のライバル」などのアナザーストーリーは競技自体を盛り上げる。プロ野球で言えば長嶋茂雄 vs 村山実、野茂英雄 vs 清原和博、プロレスなら長州力 vs 藤波辰爾、橋本真也 vs 小川直也。競馬界にも幾多の名勝負が存在し、オレにとってはサクラローレル、マーベラスサンデー、マヤノトップガンの「3強対決」がなじみ深い。ファンは目の前の一戦だけでなく、そこに至るまでの過程に付加価値を感じるのだろう。

 では、今回対決する宿命の2人はどうか。SG優勝に王手をかけながら涙をのんだ馬場選手が雪辱を果たすのか、それとも羽野選手がオーシャンVの再現とばかり5コースから攻め込むのか。どちらに転んでも筋書きのないドラマとなることは必至だが、オレは馬場選手の先輩レーサーとしての意地に懸けたい。

 彼が日本レコード保持者であることは有名だが、40歳を目前にしても高速ターンは衰えを知らない。前述の通り、オーシャン優勝戦では2コースまくりに抵抗したこともあって羽野選手に栄冠をさらわれたが、再び同じ思いはしたくないだろう。彼は闘志を表に出すタイプではないが「まだまだ羽野には負けられない」という内に秘めた思いは当然あるはずだ。

 今回はきっと馬場選手が勝つだろう。インから先に回って、1か月前のリベンジを果たすとみた。だが、オレは勝敗以上にオーシャンから始まった2人のサイドストーリーに注目したい。今回はさしずめ因縁の第2章。両者の対決がボートレース版「名勝負数え唄」になれば、なお面白い。