【今週の秘蔵フォト】独特の憂いと英国のトラディショナルフォークの香りを漂わせて、1970年代前半に人気を集めた異色のシンガー・ソングライターがりりィだ。
72年2月にアルバム「たまねぎ」でデビュー。独特のハスキーボイスと日本人離れした端正なマスクは、フォークブームの中でも他の歌手と一線を画した。同年には大島渚監督の映画「夏の妹」に出演。俳優としても活躍する異色の存在だった。74年にはシングル「私は泣いています」が100万枚を超える大ヒットを記録。一躍、フォーク界の寵児となった。
78年9月28日付本紙には新曲「ベッドで煙草を吸わないで」をリリースした直後のりりィのインタビューが掲載されている。当時のりりィは洋楽志向が強く、バックを固めるバンド(バイ・バイ・セッション・バンド)も当時の腕利きのメンバーがズラリと顔を揃えていた。9月11日に米国から帰国したばかりで「年に最低でも2回は(米国に)行きます。最高は何回でも…。東京にいてもヒマすぎて。向こう(ロサンゼルス)で曲を作ろうと思ったら、イメージがわいた時に帰るハメになっちゃって。結局は手ぶらでした」と笑った。
「ベッドで~」は沢たまきの曲を12年ぶりにカバーしたもので「昔の曲だけど、今風だし、スタンダードナンバーでしょ。私、ベッドボイスとよく言われるんですけど、曲調も合っているんじゃないかしら」と語った。この曲はりりィらしさが出てヒットを記録。それでもタイトルとは裏腹に「禁煙? とんでもないですよ」とトレードマークでもあるたばこをふかした。
ミュージシャンとして充実した時期でもあったため「BMWとオペルの外車2台を売りさばいて、駐車場を稽古場に改造したんです。これから頑張らなくちゃ」と意欲を見せていた。
その後も結婚や育児などの休養を経て、音楽活動のみならず2001年にはTBS系の人気ドラマ「3年B組金八先生」で上戸彩の母親役を演じるなど各方面で活躍。だが16年11月に肺がんのため、64歳の若さで急逝。影響を与えた多くのミュージシャンから惜別と感謝の言葉が寄せられた。音楽を徹底的に追求しながらも、俳優としても個性を発揮して独自の世界を持った稀有なアーチストだった。
(敬称略)













