【KeyHolderトップに聞く①】令和のエンタメシーンで存在感を発揮しているのが東証スタンダード上場企業の株式会社KeyHolderだ。乃木坂46(※グループを運営する乃木坂46合同会社は、KeyHolderの持分法適用関連会社に該当)やSKE48を傘下に抱え、乃木坂46の公式ライバル「僕が見たかった青空」にも資本参画している。同社の大出悠史代表取締役社長(41)、北川謙二副社長(43)、同社の連結子会社で「SKE48」の運営を行っている株式会社ゼストの高田裕充代表取締役社長(49)を直撃。今後の展望や戦略を聞いた。

 ――今年の大発会のKeyHolder株の初値が720円だったのが6月12日には年初来高値1215円を記録し、7月12日の終値が1055円。この半年間で株価は約1・47倍となっている

 大出 コロナの収束によってエンタメ業界全体の環境が上向いてきたことがポジティブに反映されたと思います。それに合わせて弊社も前々期あたりから業績が安定し、前期(2022年度)には、エンタメ関連企業に転じてから最高益(当期利益18億7700万円=前期比306・9%増)を出し、今期またさらにそれを上回る計画値(当期利益予想20億円)を出しました。第1四半期の数字も、マーケットの予想値以上のものが出せたということで、そこも評価していただいたものと考えております。

 ――2020年からの3年間はコロナ禍もあって苦しい状況が続いた

 大出 これからどうなってしまうのだろうと思うことしかなかったほど本当に大変だったなというのが正直な感想で…。握手会やライブもできませんでしたし、試行錯誤しながらオンラインに切り替えていったりと、できることを皆で模索しながら何とか乗り越えてきたというのが率直なところです。

 ――特に厳しかった局面は

 大出 20年3月にSKE48を中心に各姉妹グループ(AKB48、NMB48、HKT48、NGT48、STU48)を集めた株主様への優待ライブを横浜アリーナで行う予定でしたが、コロナ禍のためできなくなってしまった。株主様へどう説明すればいいのか、それに代替するものが何かできないのかと考えながらも、その案すら見いだせない時期というのは本当に苦しかったです。

 北川 乃木坂46も20年2月にナゴヤドーム(現バンテリンドーム)で「8th YEAR BIRTHDAY LIVE」をギリギリ行うことができましたが、3月以降は予定していたイベントは全部延期や中止となり、全く先が見えない状況となりました。

 高田 あのころはどのアーティストもライブツアーを中止にせざるを得ない。ドミノ倒しのように(ライブやイベント中止の波が)広がっていきましたね。SKE48だけでなくゼスト所属のロックバンド「Novelbright(ノーベルブライト)」もメジャーデビュー前の全国Zeppツアーが全て中止になったのは痛かったです。

 ――KeyHolderは2019年3月に芸能事務所「AKS」からアイドルグループ「SKE48」を30億円で買収し、エンターテインメント事業に本格参入したわけですが、19年から48グループの目玉イベントであった選抜総選挙の開催がなくなり、20年からコロナ禍が直撃。正直、「SKE48を買収して失敗だったな」とは思いませんでしたか?

 大出 いや、そういったことは全く考えなかったですね。ずっとみんなで「明けない夜はない」と士気を高めながら、エンタメをコロナ禍の情勢に合った形のものにしていこうという前向きな議論がありました。オンラインであったりバーチャルの部分に切り替えていったり今までとはちょっと違った角度からの複合的なサービスを提供できるようにしていこうと。

 高田 SKE48では20年7月に握手会の代わりに「現地でオンライントーク会」というイベントを始めました。約4メートルの距離を取り、ビニールシートを挟んでファンの方とメンバーがタブレットを通じてオンライントークを行うというものです。今、振り返れば少し変わった光景に思えるかもしれませんが、コロナ禍の中でギリギリやれることを探してやっていた感じですね。

 大出 これは賭けでもあったのですが、SKE48、ノーベルブライトだけだったところに乃木坂46さんにもグループインしていただいた(注・20年6月にKeyHolderは北川副社長が代表取締役を務める「株式会社ノース・リバー」の全株式の取得を発表。ノース・リバーはアイドルグループ「乃木坂46」の運営会社「乃木坂46合同会社」の持分の50%を保有しているため乃木坂46合同会社はKeyHolderの持分法適用関連会社となった)。コロナ禍の中だったからこそ、逆にチャレンジできたと思います。

 ――今年2月に発表した22年度決算では総合エンターテインメント事業の売り上げ収益が105億4100万円(前期比4・4%増)、セグメント利益は22億500万円(前期比93・7%増)。そのうち主要コンテンツ(乃木坂46、SKE48、Novelbright)だけで売り上げ収益が88億9900万円、セグメント利益が25億1200万円でこのうち乃木坂46合同会社による持分法投資利益が13億4000万円となった

 大出 やはり乃木坂46の数字が安定して入ってきているのが大きいです。それに加えて、高田がゼストの社長になってから既存コンテンツに係るスリム化が進み、ブラッシュアップしてくれたことも大きかったですね。SKE48の利益率は大幅に改善されていますし、ノーベルブライトも右肩上がりで数字が伸びている。いずれも採算はプラスのビジネスになっています。(続く)

 ☆おおいで ゆうし 05年三井住友銀行入行。17年株式会社KeyHolder入社。22年3月代表取締役社長就任。

 ☆きたがわ けんじ 11年株式会社ノース・リバーを設立。20年7月にKeyHolder取締役、23年3月に副社長就任。NMB48の6枚目シングル「北川謙二」のモデルでもある。

 ☆たかた ひろみつ 97年エイベックス・ディーディー株式会社(現・エイベックス株式会社)入社。19年株式会社ゼスト入社。22年3月代表取締役社長就任。