ボクシングのWBA世界スーパーフライ級王座戦(24日、大田区総合体育館)は、前WBO同級王者の井岡一翔(34=志成)が前WBA同級王者ジョシュア・フランコ(米国)を判定3―0で破り、世界王者に返り咲いた。

 昨年大みそかの統一戦がドローに終わった因縁の相手とのダイレクトリマッチは、戦前から荒れに荒れた。前日計量で体重を約2・9キロも超過して王座を剥奪されたフランコが、両陣営が定めた当日計量130ポンド(58・9キロ)を58・0キロでクリア。井岡が勝てば新王者、フランコが勝てば王座空位の条件で試合が成立した。

 前日の段階で3キロという前代未聞の体重差があって不利も予想された井岡は、積極的に手数を出してくるフランコに的確なパンチで対抗。2Rからはボディーを多用して後退させていく。さらに5Rには有効なヒッティングで、フランコが右目付近から出血。井岡も相手を下がらせて前進していく。

 最終12Rまで的確にカウンターとボディーを中心に有効打を積み重ねた。ジャッジは115―113が1人、116―112が2人で3人とも井岡を支持。文句なしの3―0判定勝利を収めた。

 21日深夜にはJBCが、前戦の井岡の尿検体から大麻成分の代謝物が検出されたことを発表。世界ドーピング防止機構の基準を超えていなかったため試合開催には問題なく、井岡の潔白を主張する志成ジムはJBCの発表タイミングに疑義を呈していた。対戦相手の体重超過と、トラブル続出の中で迎えた世界戦だった。

 試合後の井岡は報道陣から同問題について質問を受けると、長時間にわたって自身の考えを説明した。「単純に自分自身に対して、後ろめたいことは1ミリもしてないですし。それは動じない。自分がどう過ごしてるかは自分が一番分かっているので」と改めて潔白を主張した。

 2020年大みそかの試合後のドーピング検査でも、大麻を含む禁止薬物の陽性反応が検出されたとして騒動になった。当時はJBCのずさんな管理体制が問題になり、全面的に非を認め謝罪している。井岡は「なんで摂取してないものが出たって僕たちは(潔白)立証したわけで。その前例があるにもかかわらず、(反応が)出たからって僕に対してそこ(疑惑)を100%重視するのはどうなのかなと。前回同様、僕がドーピングに対して応じて、そこから尿をどういうふうに扱ってっていう、そこを明確に分からないと状態も分からないし」と語気を強めた。

 発表のタイミングが試合直前だったことも問題視している。「大みそかの試合が終わって5か月も6か月もたってる今に、両陣営が(再戦に)同意して、WBAが承認をおろしてくれているのに、今になったら僕たちは戸惑うじゃないですか。(試合が)終わってから出してほしいとかじゃなく、もっと早く(出してほしい)。2月なのか1月後半なのか。じゃあもっと早く対処できたわけじゃないですか。なんで5月の半ばにこんな結果が出てますよって。僕たちも前回のこともあったら、どう思いますか。とても不審な気持ちですよね」と、もっと早い段階で対処に動くことができたと主張した。

「僕たちからすれば、このタイミングは『この試合を中止させようとしてるのかな』という不安を抱く。出てしまったことに対しては仕方ないし、もっと早くどうするか、いろんな対処ができたはずなのに。まず僕が話す前に、前回同様にどういうふうに(尿を)扱って、どういうふうに(検査を)してって証拠を差し出してから僕に言うべきじゃないですか? しかももっと早くに」とJBCの対応について疑問を投げかけた井岡。覚悟の決戦に水を差す出来事だっただけに、最後まで怒りを隠そうとはしなかった。