是枝裕和監督(60)最新作「怪物」が6月2日に封切られる。小学5年生の少年2人を軸に、登場人物それぞれの視点で「怪物」探しの果てを描いたヒューマンドラマ。脚本賞を獲得したさきのカンヌ国際映画祭では、LGBTQ+(性的少数者)を扱った作品に与えられる「クィア・パルム賞」も日本映画で初受賞した。
国会では「LGBT理解増進法」成立に向け、いまだ政治家たちの足並みがそろわず。また、ジャニーズ事務所創業者・ジャニー喜多川前社長の性加害問題も再燃している。そんな中、仏カンヌから帰国した是枝監督は、凱旋会見(5月29日)で昨年の撮影をこう振り返った。
「LGBTQの子供たちの支援をしている団体の方に(脚)本を読んでいただいたり、演出上どういうふうな注意点があるかってことをお伺いしながら、描写については現場にインティマシーコーディネーター(性的描写の撮影で俳優と製作側の間に立つサポート役)の方にも入っていただいた」
団体スタッフの助言は大きかった。
「あの年齢(11歳)の子たちが、例えば自分がゲイであるとかトランスジェンダーであるという自認、もしくは他認をするということはまだ早い段階なので、『そういう特定の描写をむしろ避けた方がいいのではないか』というアドバイスをいただいて、極力というか、そういう描写を脚本から少しカットした」
是枝監督は、作品タイトルに込めた思いも明かした。
「その名付けようのない、自分の中に芽生えた得体の知れないもの、あの子たちにとっては。それを彼らは『怪物』と名付けてしまう、もしくは周りの抑圧によってそう呼ばされてしまう。そのことを描きたい」
同作では同性愛が題材だが、是枝監督は「自分の中に芽生えてしまった、自分でも理解できない自分の感情とか存在を、怪物だと思ってしまうという感情とか行為というのは、いろんなところでいろんな状況に置かれた子供たちの中で起きているだろうな」と考えたという。
「で、その子たちを孤独な状況に追いやってしまっている私たち(大人)っていうものを、要するに彼らから見れば私たちのほうが怪物であるっていう、私たちが彼らに見返されるというスタンスを、どういうふうに映画の中に描いていくかということまでやるべきだというのが、相談をさせていただいた団体の方と話し合った上で僕が学んだことでした」
それが一番学んだことで〝そこを見失わないようにしよう〟と思ったそう。是枝監督は「決して、彼らが抱えた葛藤をネタとして扱ったつもりはありません」とも強く語っていた。












