カンヌ国際映画祭で2冠を獲得した映画「怪物」(6月2日公開)の凱旋会見が29日夜、是枝裕和監督(60)の帰国に合わせ、東京・羽田空港で行われた。脚本賞を受賞した坂元裕二氏(56)も同席した。

 同作は2人の少年を主人公に、登場人物それぞれの視点で「怪物」探しの果てを描いたヒューマンドラマ。LGBTQ+(性的少数者)を扱った作品に与えられる独立賞のひとつ「クィア・パルム賞」も邦画初受賞となった。

 晴れの席で坂元氏は「脆弱な脚本家」「ホントにもうカツカツなんです」と愚痴をこぼしまくった。

「ただただ『仕事をしましょう』と言ってくださることがうれしくて、それにホイホイついて行ってしまってる自分がお調子者で情けなくて…。『本当に書けないよ、ゴメンゴメン』って謝りながら、みんな周りの方が『大丈夫。書けるよ』って言ってくださって、支えられながらやっているので…」

 大みそかと元日以外はずっと仕事だそう。「脚本書くのは、もう地味に毎日朝、仕事机に座って夜寝るまで、ずっとパソコンの前に座ってます。私の万歩計、日々12歩なんですね。トイレに3回ぐらい行ったぐらいなんですけど…」

 是枝監督から渡されたトロフィーの重みも「正直、実感はあまりありません」と答え、受賞の一報は寝てる時だったため「今も夢にいるような、そんな思い」と素直な回答。世界的な映画賞で評価されたのに、ネガティブ発言の連発で会場を笑わせた。

「楽しい仕事でもないですし、真面目に文字を書くことだけでしか何も得られないものですから…。こうやってとても華やかな場に立たせていただきましたが、(映画の)公開が終わったら、また私、締め切りに追われてコツコツとパソコンの前に向かうしかないですので、とても楽しい気持ちにはなれないです」

 自分へのご褒美について聞かれると「昨日(渋谷の)ヒカリエでモロゾフのプリンを買いまして…」と明かした。今後の仕事は「当面映画(の脚本を)書くことは決まってます。ドラマは決まってません」とのこと。

 今作は、是枝監督と坂元氏の初タッグ作品だ。是枝監督から「チャンスがあれば、僕は(また脚本を)お願いしたい」と振られ、坂元氏は「2回目っていう必然があったら、こんなに幸せなことはないです」と、この時ばかりはうれしそうだった。