第75回カンヌ国際映画祭に出席した2人の映画監督の明暗が分かれている。東京五輪の公式記録映画「東京2020オリンピック」を撮った河瀬直美監督は大苦戦している一方、是枝裕和監督の「ベイビー・ブローカー」は絶好調。客足は雲泥の差だ。関係者からは「そもそもカンヌでの評判にも差があった」との声も出ている。
河瀬監督が総監督を務めた「東京2020オリンピック」は、アスリートを中心に描いた「SIDE:A」、アスリート以外を中心に描いた「SIDE:B」の2部構成となっている。「SIDE:A」は今月3日に公開されたが、映画館は閑古鳥が鳴いている状況。興行収入も散々な結果となった。
24日に公開された「SIDE:B」は、「SIDE:A」よりも苦戦しているという。
「まあ、最初から苦戦するのは目に見えていた。2部構成で〝『SIDE:A』は見てないけど『SIDE:B』だけ見よう〟と思う人はまずいない。どう考えても『SIDE:A』より客足が落ち込むのは当然でしょう。見に行った人は『客席に3人しかいなかった』と言っていたほど」(映画関係者)
原因は大きく分けて3つある。1つ目は映画の内容そのものだ。同関係者が指摘する。
「『SIDE:B』は、非アスリートを中心に描くとしていた。東京五輪は1年延期になり、コロナ禍で反対運動が激化、さらには開閉会式の演出担当だった野村萬斎さんが辞めたり、テーマには事欠かないはずなのに、実際には森喜朗さんとIOCのバッハ会長の思いが中心に描かれていた。日本では大きなバッシングを浴びた2人の言い分を流した感じがして、あまり共感が得られていないのが実情」
2つ目は劇中歌。まさかの光景が映し出されたという。
「『SIDE:A』では歌手の藤井風さんが主題歌を担当していた。『SIDE:B』も当然、同じ曲だと思われていたが、なんと最後に流れた曲は、河瀬監督自ら歌っていた。自分で作った歌らしいけど…」(前同)
最後は公開前のひと悶着だ。昨年末にNHK―BS1スペシャル「河瀬直美が見た東京五輪」で間違った内容の字幕が流れた問題に加え、今年の4、5月には「文春オンライン」にスタッフへのパワハラ疑惑を立て続けに報じられた。
同関係者は「これらの疑惑にきちんと答えてこなかったことも印象が悪かった。映画の客足に影響したかもしれない」と指摘している。
一方、「SIDE:B」と同じ24日に公開された是枝監督の韓国映画「ベイビー・ブローカー」は絶好調だ。公開後3日間で約1億7000万円の興収を記録した。
「国内興収ランキングでは3位だが、1位は世界的に大ヒットしている『トップガン マーヴェリック』。2位、4位はドラゴンボールとアンパンマンというアニメだから、大健闘でしょう」(宣伝会社関係者)
今年のカンヌ国際映画祭では、河瀬監督の「東京2020オリンピック」と是枝監督の「ベイビー・ブローカー」が、「絶賛された」と報じられているが…。
「『ベイビー・ブローカー』は絶賛されたけど、『東京2020オリンピック』は途中で帰る観客も少なくなかった。『ベイビー・ブローカー』は、『大きな賞を取るのでは?』と期待されたが、キリスト教関連の団体から贈られるエキュメニカル審査員賞にとどまった。これは2018年に『万引き家族』で最高賞のパルム・ドールを受賞してから4年しかたってないことが影響したのでは、と言われている」(前同)
河瀬監督にとっては厳しい現実を突きつけられてしまった。












