近い将来、生活の中で聞く〝音〟で認知症予防できるかもしれない。「ガンマ波テクノロジー 認知機能ケア」の最新動向発表会(主催・ウェルネス総合研究所)が18日、都内で行われた。

 杏林大学医学部名誉教授・古賀良彦氏が「音刺激によるガンマ波帯域脳波の発生と認知症予防の可能性」というタイトルで基調講演を行った。

 超高齢化社会の到来で認知症患者数は増加の一途で、2012年で65歳以上の6人に1人だったのが、25年には5人に1人が罹患するとの推計が出ている。社会の環境変化や糖尿病などに伴う増加だとみられる。

 認知症の約7割はアミロイドβというたんぱく質の蓄積によるアルツハイマー型だという。「アミロイドβとはざっくり言うと脳のごみで、蓄積することで神経変性が進行し、脳が委縮するのです」と古賀氏。

 認知症予防として五感への上手な刺激が有効であり、触覚刺激として折り紙、嗅覚・味覚刺激としてコーヒーが注目されている。そんな中、古賀氏は「聴覚刺激の研究が進んでおり、マサチューセッツ工科大学のリーフエ・ツァイ博士らがマウス実験で、40Hz周期の断続音を聞かせることでガンマ波が聴覚野と海馬に発生したことを確認しました。ガンマ波が発生することでアルツハイマー型認知症と関連の深いアミロイドβたんぱく質が有意に減少し、目的地に向かう・戻る時などに機能する空間記憶が改善したのです」と説明した。ツァイ博士は22年に人間にも同様の実験を行い、良い結果を得たことを学術誌で発表している。

 ガンマ波は認知(=情報処理)のプロセスを営む中で増加する脳波。アルツハイマー型認知症の患者は、健常者と比べて認知プロセスで生じるガンマ波が減少していることが分かっている。「ガンマ波の音を聞かせることで、脳内にガンマ波を生じさせ、認知機能が改善する可能性があると推測できます。聞くことによって認知症の予防の役に立つだろうと期待できます。まだ実験は始まったばかりで、安全性、効果を調べているところです」と古賀氏。

 すでに複数の企業がガンマ波利用に動いている。この日、シオノギヘルスケアとピクシーダストテクノロジーズがガンマ波サウンドを日常生活の中で自然と聴くことができるテレビスピーカー「kikippa(ききっぱ)」の発売を開始。また、塩野義製薬、NTTドコモ、学研ココファン、SOMPOひまわり生命保険、三井不動産などが各社の事業領域の中でガンマ波サウンドによる認知症予防、認知機能改善を進めることを発表した。