フィギュアスケート男子で五輪2連覇を果たし、プロに転向した羽生結弦(28)は、自らの手で〝呪縛〟を解いた。

 競技者時代の2014年11月に行われたグランプリ(GP)シリーズ第3戦中国杯では、衝突事故に遭いながらも出場を決断。2位に食い込んだ。全治2~3週間の診断を受けながらも、約3週間後のGPシリーズ最終戦NHK杯にも出場。4位に入り、GPファイナル切符を勝ち取った。

 そんな想像を絶する苦しみを味わった14~15年シーズンのフリーで演じたのが「オペラ座の怪人」だ。「これはもう滑らないって、ある意味封印してきた」と明かすほどだが、先月に東京ドームで開催したスケーター史上初の単独アイスショー「GIFT」で解禁。すると、気持ちの変化が生じたという。

 30日に大阪・東和薬品ラクタブドームで開幕したアイスショー「スターズ・オン・アイス」では、再び「オペラ座の怪人」を披露。「もっと完成させたものを、もっと体力のある状態でしっかりと滑りきれる状態でみなさまにお届けしたいなと考えて滑ることにした」と明かしつつ、もう一つの理由をこう切り出した。

「この会場は、僕自身、衝突事故のあと、すぐにこの会場で(NHK杯時に)滑っていて、あのときは事故の影響も少なからずあって、うまく滑れなかった。そういった意味でもこの会場で良い演技ができたらいいなという意味も込めて滑っている」

 14年のNHK杯では、納得のいく演技ができなかった。だからこそ、同じ場所で「オペラ座の怪人」を演じ、心にあったわだかまりを取り除いたのだ。

 今回のアイスショーは30~4月1日に大阪・門真で、4月3~5日に岩手・奥州で、4月6~9日に神奈川・横浜で実施される。23年も精力的に動いていることから、疲れがないと言えばウソになる。それでも「体調自体そんなにベストだなとは思わないけど、しっかり全力ですべての演技に全神経を注いで、頑張りたい」ときっぱり。感謝の思いを胸に、今できる最高の演技を届ける覚悟だ。