ウクライナ戦争をロシアとウクライナの二国間の枠組みでとらえるべきではない。
ロシアVS(ウクライナを支持する)米国を中心とする西側連合の対決がこの戦争の本質だ。米国からすれば民主主義VS独裁、ロシアからすれば真実のキリスト教(正教)VS悪魔崇拝(サタニズム)の価値観戦争だ。
このような価値観戦争は一方が他方を殲滅するか、核戦争が起きて双方が共倒れにならないと終わらない。いずれのシナリオも人類に禍をもたらす。価値観を脇に置いて早期停戦を実現しなくてはならない。停戦の前提になるのが対話だ。その意味で米ロ間に好ましい動きがあった。
<ブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相は2日、訪問先のインドで10分ほど話した。2022年2月24日にロシアがウクライナを侵攻した後に対面で会うのは初めて。ブリンケン氏はロシアが決めた新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を撤回するよう要求した。/インドの首都ニューデリーで開催された20カ国・地域(G20)外相会合に合わせて会話をした。両外相が接触するのは22年7月に電話協議して以来。その時はブリンケン氏がロシアで拘束されている米国人の解放を求めた。/ブリンケン氏は2日の記者会見で、新STARTの履行停止を巡りラブロフ氏に「無責任な決定を撤回し、復帰するよう促した」と述べた。条約の順守が「両国の利益になり、世界中が期待していることだ。米国は戦略的軍備管理に関与し、行動する用意があると伝えた」と語った>(2日「日本経済新聞」電子版)。
実は米ロの接触を仕掛けたのは、ロシアのプーチン大統領だ。2月21日にモスクワで行われた連邦議会に対する年次教書演説でプーチン氏は「私は今日、ロシアが戦略兵器削減条約(新START)への参加を停止していることを言わざるを得ません。繰り返すが、ロシアは条約から脱退するのではなく、参加を停止するのです」と述べた。
要するに、米国との信頼関係が崩れているので、新STARTの履行を停止することにしたが、この条約から離脱するつもりはなく、米国が態度を改めるならば、履行停止を撤回するというシグナルを出した。
米国はロシアのシグナルを受け止めて、外相級で本件について協議することにしたのだ。外交官は職業的本性として交渉が始まればそれをまとめたくなる。核戦争を避けるために真面目な交渉を米ロ両国には進めてほしい。











