深海生物のはずがなぜ!? 大阪市北部を流れる淀川河口付近で9日午前7時40分ころ、クジラ1頭が泳いでいるのが見つかった。中島パーキングエリアで休憩中のトラック運転手から「クジラのようなものが潮を吹いている」と、第5管区海上保安本部に通報があった。

 大阪海上保安監部が現場を確認したところ、淀川河口付近で体長8メートル、体重4・5トンほどとみられるクジラを確認。同保安監部では小型艇を出し、クジラがこれ以上上流に迷い込まないよう監視し、周辺を航行する船舶に衝突しないよう注意喚起した。

 内海である大阪湾にクジラが現れるのは非常に珍しく、ニュースを知った人たちの間では「巨大地震のシグナルかも!?」「南海トラフとか巨大地震の前触れ現象でないことを祈ります」「大地震の前はクジラやイルカが迷い込んだりするというから何でもないといいね」など、巨大地震を心配する声が上がった。

 いわゆる大災害の前触れとして“宏観異常現象”が起こると言われているからだ。宏観異常現象とは、原因不明の地鳴りや発光現象のほか、地下水の水位や水質変化、気象異常が起こったり、生物が異常行動をとる現象のこと。「地震の前にナマズが騒ぎ出す」という伝承も、宏観異常現象の一つだ。

 今回は深海生物であるクジラが普段は生息しないはずの大阪湾に迷い込んだことで、大地震を危惧する声が上がったが、海洋生物に詳しい専門家は「大阪湾に現れたのは、頭の形状やヒレの形からマッコウクジラという大型のクジラで、体長8メートルとのことからまだ子供とみられる」と指摘。その上で「普段は雌と子供が一団となった群れを形成しているだけに、仮に今回のマッコウクジラが地震の前兆現象の影響を受けたのだとしたら、群れごと大阪湾に迷い込むはずだ」と、宏観異常現象の可能性を否定した。