【角界この一年(下)】今年の大相撲は横綱を頂点とする番付の秩序が崩れ「戦国時代」や「下克上」がキーワードとなった。そのことは、賜杯を抱いた顔ぶれからも見て取れる。初場所から順に、関脇御嶽海、関脇若隆景、横綱照ノ富士、幕内逸ノ城、幕内玉鷲、幕内阿炎(番付は優勝当時)。年6場所制以降で優勝力士が全て異なるのは3度目で、関脇以下が5度優勝するのは初めてのことだった。

 年の後半には、大関が相次いで陥落。秋場所は御嶽海、九州場所では正代が地位を失った。来年1月の初場所で看板力士は横綱照ノ富士と大関貴景勝の2人だけ。1横綱1大関は1898年1月場所以来、125年ぶりの異常事態となっている。その照ノ富士も、昨年10月に両ヒザを手術した影響で初場所は休場の見通し。土俵が大きな過渡期を迎えていることは間違いない。

 日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)はこの1年の混沌とした状況について「照ノ富士のケガが大きい。ケガをしなければ、2回は優勝できたと思う。若手が『自分が上がるんだ』という気持ちが必要。私を含めて親方衆が頑張って強い横綱大関をつくる。そのことにかかっている。すぐにはできないが、足掛かりをつくってほしい」と強い危機感をにじませている。

 今の土俵には、圧倒的な強さを誇っていた横綱白鵬(現宮城野親方)もいなければ、ファンから絶大な支持を得ていた横綱稀勢の里(現二所ノ関親方)もいない。次代を担う力士たちの芽を育て、関取衆の中から魅力的で安定感のある横綱大関を誕生させられるか。今こそ、親方衆の手腕が問われている。