オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第119回は「カキタ様」だ。

 ある集落には子供たちが絶対に近づかないエリアがあった。その場所では、行方不明事件がたびたび発生していた。この場所は「カキタ様」と呼ばれる、妖怪とも神さまとも解釈できる存在がいるのだという。大人たちから「カキタ様にさらわれてしまうよ」と叱られていたので、子供たちは恐れて近寄らなかった。

 そのエリアとは、神社の鳥居がある場所であった。ある時、小学生のグループがそこで「だるまさんが転んだ」を遊んでいた。そもそも「だるまさんが転んだ」という遊び自体がかなり危険な遊びだ。そのまま人ではない存在にさらわれてしまう可能性が高い。

 夕方が過ぎ、子供が家に帰る時間を知らせる村内放送の「七つの子」が流れた後、気にもせず遊んでいた。そのうち、最も後ろ側に立っていた子供が突然消えてしまった。村中が大騒ぎになった。結果的に消失した子供は数日後、隣県の何キロも離れた峠で発見された。峠近くを走っていたドライバーが道路の真ん中で泣いている子供を発見したのだという。なぜこんな遠くにテレポートしたのか、原因は全く不明だ。老人たちは「カキタ様の仕業だ」とささやいた。

 その神社の鳥居はまだあるが、行方不明になる子供が現在でもいるのかどうかは分からないという。