小倉競輪場で11月22~27日に開催されるGⅠ「第64回競輪祭」はグランプリ(平塚、12月30日)の出場者が決まる究極決戦だ。賞金ランキング10位にいる山田庸平(35=佐賀)が勝負の時を前に、秘めた思いを語った。

 山田は14日現在で、12月30日に平塚競輪場で行われる「KEIRINグランプリ2022」出場に向け、賞金ランキングで10位にいる。9人が出場できる夢舞台へ、ボーダーのひとつ下。現在の自分を、どう見ているのか――。

「実は、今だからこそ、話すんですけど…」

 くすぐったい表情で真実を明かした。「今年は賞金でGP出場を、というのは狙ってました」。今年は6月岸和田GⅠ「高松宮記念杯」の準優勝で大幅にランクアップ。そんな位置にいながら、GPについて聞かれると「来年、赤いパンツを履く自信はないし…」「自分にはそんな力は…」などと話してきた。

 しかしもう、自分に言い訳の余地は残さない。明確に勝負の時に向かって、敢然と挑む。決意したのは「去年のいつとは、はっきり思い出せないけど…。GⅠを取る力はない、目指せるのは賞金で、と思ったんですよね」と振り返る。近年、上位での成績が安定してきて、最上界が見えてきたのだ。ひそかに、狙っていた。

 追いかけてきた背中がある。GP出場をかけて兄・英明(39=佐賀)が何年も奮闘していた。その姿を見て「自分もそういう戦いをやりたいと思ってました」。応援する気持ちでありながらも、兄弟だからこその複雑な思いがあったという。

「今年になって立場が変わっているけど、10年以上〝山田英明の弟〟と言われてきて、比べられてきた。誰にも分からない感覚だと思うんですけど、ずっと自分が一番悔しいと思っていたんです」

 嫉妬や妬みの思いではなく「兄貴は組み立てもしっかりしているし、すごいレースをしてましたからね。それに九州の自力でずっと頑張っている。尊敬してるんですよ」と包み隠すこともない。ただただ、兄の背中を追いかけ、自分も…の気持ちだった。

 最後の勝負へ。今年は「戦えていた部分と、戦えてない部分と両方ありました。でもS班の選手と走ることで、仕掛け、流れ、スピードなどを明確に感じられた。その課題を克服しようとしてきました」と一歩一歩、差を縮めんとやれることはやってきた。

 インナーには〝鬼脚闘将〟と佐賀の伝説になっている井上茂徳氏(鬼脚、41期=引退)と佐々木昭彦氏(闘将、43期=引退)の異名を入れている。その道を受け継ぐ覚悟を明らかにするためだ。

 GP出場への最低条件は決勝進出。6日間の長丁場、それもナイターでの決戦。死力を尽くし、輝く平塚への切符を手に入れる。

 ☆やまだ・ようへい 1987年11月8日生まれ、佐賀県出身。171センチ、69キロ。佐賀支部所属の94期生。父、秀(37期=引退)、叔父、貞彦(43期=引退)、兄は英明(89期)。変幻自在な走りが持ち味のオールラウンダー。