世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は22日、一連の報道を受けて改革の方向性を示す会見を行い、〝テッシー〟こと勅使河原秀行氏が教会改革推進本部長として改革を指揮すると発表した。しかし、会見の中身は具体性に乏しく、報道陣からは厳しい指摘も…。元信者で詐欺や悪徳商法に詳しい多田文明氏は「ただのパフォーマンス」「勅使河原氏では力不足」と指摘した。
この日、教会改革推進本部長として会見に臨んだ勅使河原氏は、「安倍元首相の銃撃事件以降、さまざまな報道を通じて世間を大変お騒がせしましたこと、ならびに日本国政府、国会議員の方々にご迷惑おかけしましたことをおわびいたします。大変申し訳ありませんでした」と謝罪。
そのうえで、2009年のコンプライアンス宣言の徹底を図るとし、過度な献金で信者の生活を圧迫しないなどとした。違反者には内部規定に基づく処分を行うとした改革方針を明らかにした。
しかし、改革の透明性という点では、疑問が残る。通常、組織改革には外部有識者の参加が望ましいが、勅使河原氏は「現時点では考えておりません」として教会内部で改革を進める考え。さらに〝過度な献金〟の基準も個人の経済力によるとし、過度であるかの判断も「教会長やスタッフがする」という。
こうした改革方針に対し、TBS系「報道特集」の名物キャスター金平茂紀氏が、「実際に我々が取材した実感と今回の改革と称するもの、あまりにも落差があって頭がクラクラらする思いですよ。いったい何考えてるんですか!」と、語気を強めて批判する場面もあった。
元信者で霊感商法に携わった経験もある多田文明氏は、今回の会見について「ただのパフォーマンスですよね。過度な献金をやめさせるというけど具体性がない。今、旧統一教会の解散命令にまで話が及びそうな空気のなか、安倍元首相の国葬や臨時国会を控えて、その前に何とかしなきゃいけないという組織防衛と焦りのためでしょう」とバッサリ。
教会改革に外部有識者を入れない方針については「教会の外の人はサタンなので、そんな人を教会改革に参加させるわけがない。本気で教会改革をするなら、被害者の弁護団を入れるくらいしないと、誰も本気とは思わないでしょう」と厳しく指摘した。
そんななか、この日の会見で話題になったのは勅使河原本部長だ。京大卒のエリートで、1992年の合同結婚式に新体操のトップ選手だった山崎浩子氏と合同結婚式に参加。さわやかな好青年として広告塔の役割を果たしたが、翌年、山崎が脱会。一連の動向がワイドショーなどで報じられ、「テッシー」の愛称でも知られた。
同じ合同結婚式に参加した多田氏は「勅使河原氏は92年の合同結婚式で山崎浩子さんが相手だったことから、何かの理由で特別な存在だったのは間違いない。ただ、教会改革推進本部長という立派な肩書を得ても、信仰歴の長い格上の古参幹部たちを前にしたら力不足。教会内には勅使河原氏を何とも思わない幹部がうようよいる」
外部有識者を入れずに内部関係者だけで教会改革を目指す勅使河原氏。格上幹部たちも相手にして、本当にうまくいくのだろうか――。
(本紙取材班)