参院選(22日公示、7月10日投開票)を前に日本記者クラブ主催の党首討論会が都内で行われ、NHK党の立花孝志党首(54)が「大金持ちからの訴え」として、自民党総裁の岸田文雄首相(64)に金融所得課税の強化に待ったをかける質問を行った。この大金持ちとはエイベックスの松浦勝人会長(57)だった。

 党首間での討論時間で、立花氏は「先日、ある大金持ちの方と意見交換したのですが、『これ以上税金を取らないでくれ。こんなに税金を取られているのに、岸田総裁は金融所得課税20%の税率を上げようとしている。そんなことをしたら今度こそ日本から出ていくとおっしゃっていました』」とのやりとりを紹介した。

 その上で「大金持ちに高額の税金を負担させると海外に移住してしまう。結果として、日本国全体の税収が減ってしまい、貧困層への福祉サービスが低下する」として、岸田首相が推し進めようとしている金融所得課税の見直しについての再考を迫った。

 岸田首相は就任後、金融所得課税の強化を示唆し、投資家を中心に反発を招き、日本の株価は下落。先送りを表明するハメとなった経緯がある。

 立花氏の質問に、岸田首相は「公平性において、現状どうだろうかの議論がある。政権に就くに当たって、成長も分配もと申し上げ、分配政策の重要さを強調した。より多く分配することに政策を優先すべきであるとして、賃上げ政策を用意した。自民党の税制調査会で議論を続ける方針が明らかになっている。政策の優先順位は考えないといけない」とかわした。

 すると、立花氏は「ある大金持ちとはエイベックスの松浦会長のことです。今の回答だと日本からこのまま出て行ってしまうのではないかと不安をおぼえます。お金持ちからお金をたくさん取るのは昔の考え方で、グローバル時代においては、外国に逃げてしまう。お金持ちが残るような政策を進めてほしい」と苦言を呈した。
 
 松浦氏はかねて、日本は税率が高過ぎるとして、富裕層の海外への流出を懸念している。もっとも、この日朝に配信した松浦氏の公式ユーチューブチャンネルでは「海外移住はいきって、すると言ったけど、よくよく考えてみると税金高いし、いま日本はダメダメで、政権もダメだけど、日本が好きなんだよね。今は日本にいようかなと思っている」と話していた。