世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の〝献金実態〟の一端が明らかになった。元信者の60代女性は「霊肉(れいにく)界祝福」と呼ばれる結婚式で280万円を献金。その返金をめぐって裁判沙汰になっていたことが判明したのだ。また、安倍晋三元首相(享年67)を殺害した、山上徹也容疑者(41)の母Aさんにも同儀式への献金情報が浮上。教団側に問い合わせてみると――。
「霊肉界祝福」――。なかなか聞きなれないこのワードは何か。
旧統一教会の結婚は家庭連合と名前を変えた現在に至るまで「祝福結婚」と称される。社会問題になった、いわゆる合同結婚式は、正式には「祝福結婚式」だ。その祝福結婚の一つとして霊肉界祝福がある。意味は「亡くなった配偶者(霊)と存命の配偶者(肉)が〝結婚式〟を挙げること」。一般的な結婚からはとても理解しがたい儀式だろう。
そんな「霊肉界祝福」の献金をめぐって、裁判ざたが起きていた。
夫と子供を亡くして打ちひしがれた、ある60代女性は2013年、旧統一教会に入信した。信者に勧められ、同年に280万円を献金して霊肉界祝福を挙げたという。だが、その数年後に〝改心〟し、これまでの献金の返金に動く。17年には旧統一教会と当該信者らを相手取り、霊肉界祝福を含めた総額500万円超の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
この裁判沙汰があった時点で、旧統一教会の田中富広会長が11日の会見で「09年以降はトラブルが起こっていない」と語ったことが正確ではなかったことがうかがえる。実際、教団は17日の声明で「トラブルがゼロになったという意味で言ったものではありません。その点は言葉不足で、誤解を招いてしまったことを率直にお詫び申し上げます」と謝罪している。
さらに気になるのが、280万円という霊肉界祝福代の価格設定が〝適正〟だったかどうかだ。ちなみに、結婚情報誌「ゼクシィ」の20年度調査によると、一般の結婚式の平均費用は292万3000円。霊肉界祝福は絶妙の価格設定ともいえるが…。
家庭連合に霊肉界祝福代として280万円は通常価格か聞いたところ、「霊肉界祝福の感謝献金は、280万円が目安となっていた時期もありますが、140万円が目安の時期もありました。感謝献金は一括で納めなければならないことはなく、また献金を納めなければ祝福式に参加できないわけではありません」と回答した。
安倍氏の銃撃事件をめぐっては、山上容疑者の父が1984年に自殺、母Aさんは91年ごろに入信し、総額1億円以上、献金したとされる。そのため、Aさんも霊肉界祝福をしたとの情報も浮上したが、教団は「個人のプライバシーに関わるご質問には、お答えを差し控えさせていただきます」とした。
家庭連合は09年、信者にコンプライアンスを順守するよう通達。17日の声明文では「それ以降、当法人を相手取った民事訴訟の数は着実に減少してきています」と説明した。また「09年以降もごくわずかですが、そのようなケースがあるのは事実です。そうしたケースについては、当法人は誠意をもって対処し、解決に向けて取り組んでおり、またそのように指導しております」としている。
一方、全国霊感商法対策弁護士連絡会によれば、旧統一教会による霊感商法の被害相談は、直近5年間に限っても約580件、被害総額は約54億円にのぼるという。これに対し教団側は、弁護士らによる被害の集計内容は「不正確」で「水増しされている」と反論しているが…。
Aさんによる多額の献金に端を発した今回の事件。死者との結婚も献金対象にしていたとは驚くほかない。












