ロシアがウクライナに侵攻してから半年が経過した。当初は「ロシア軍の力ですぐに制圧する」とみられていたが、ウクライナ軍の反撃もあり、いまだに終結する気配はない。そうしたなかで、あまりにも異常な映像がSNSに出回っている。それはプーチン大統領の狂信者であるロシア人が、亡くなったウクライナ兵の頭蓋骨をステージ上で掲げている、という映像だ――。

 ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始したのは2月24日のこと。ウクライナのゼレンスキー政権がロシア系住民を迫害していると主張し、北、東、南の3方向から攻め入った。ただ首都キーウ(キエフ)の早期攻略に失敗して北部から撤退。東部、南部では戦闘が継続しているが、欧米の武器支援を受けたウクライナ軍は反撃に転じ、侵攻後半年を経て膠着状態に陥っている。

 そんな中で異常な映像が出回っている。これはウクライナのジャーナリストや文化・情報政策省などの国家機関が「ロシアの傭兵がウクライナ兵の頭蓋骨でパフォーマンスを行った」として映像をSNSに拡散させたもので、複数の欧米メディアが大きく報じている。

 ステージでパフォーマンスを行ったのは、ロシア人のイゴール・マングシェフ氏。ロシアの諜報機関・連邦保安庁(FSB)とつながりがある親ロシア政治運動集団「ライト・ロシア」のリーダーで、民間軍「ENOT」の創設者だという。

 マングシェフ氏によると、傭兵としてウクライナ侵攻にも参加。右手に掲げている頭蓋骨は、ウクライナ南東部の激戦地マリウポリのアゾフスタリ製鉄所近くで殺害したアゾフ連隊のウクライナ兵だといい、映像の中で「われわれは生きていて、この男はすでに死んでいる。彼を地獄で焼き尽くせ。彼は運が悪かった。彼の頭がい骨から杯を作ろう」と叫んだ。

 さらにマングシェフ氏はプーチン氏の戦争プロパガンダを語ったうえで、「平和なんてあり得ない。ウクライナを非ウクライナ化しなければならない。もしわれわれが血と肉を持った人間と戦争をしているなら、和解することができる。しかし、われわれが相手にしているのは、ウクライナの思想だ。その思想を持つ者は、すべてこの男のように殺さねばならない」と話した。

 さらに聴衆から「それは民間人の頭蓋骨ではないのか?」と問われると、「民間人ではない。われわれが殺した兵士だ」と答えた。

 民間人であることを否定したマングシェフ氏だが、テレグラム(ロシアのSNS)で民間人の殺害を呼び掛けていることが発覚。「われわれはウクライナ人の家を焼き、家族を殺し、子供を連れ去り、ロシア人として育てる」などと投稿していた。

 狂気のマングシェフ氏に対し、SNSでは「暗殺されるだろう」「この男は1週間以内に狙撃されるか爆死でいなくなるだろう」などとのコメントが記されている。

 この異常な映像については複数のメディアが検証しているが、いつどこで何のために行われ、撮影されたものかは不明。もし頭蓋骨が本物ならば、ロシア連邦刑法にある「死者の身体の冒とく」にあたるとも指摘されている。