パンドラの箱の中身がとんでもないことになってきた。東京・五輪パラリンピックを巡る汚職事件で、森喜朗元首相(85)、KADOKAWAの角川歴彦会長(79)ら大物の名前が次々と浮上し、疑惑の対象が拡大の一途だ。政財界、メディアを巻き込んだ〝東京五輪疑獄〟の終わりが見えなくなってきた。

〝スポーツ村のドン〟といわれた東京五輪大会組織委員会元理事で元電通専務の高橋治之容疑者(78)に絡んだ裏金疑惑がさらに膨れ上がった。

 先月、高橋容疑者の逮捕と同時に紳士服大手「AOKIホールディングス」の創業者で前会長の青木拡憲容疑者(83)らが贈賄容疑で東京地検特捜部に逮捕されたのは序章にすぎなかった。

 今月に入って、組織委会長だった森元首相にAOKI側から現金200万円が渡った疑いが報じられれば、3日には出版大手「KADOKAWA」が大会スポンサー契約を結んだ後、高橋容疑者の知人が経営する会社にコンサルタント名目で7000万円が支払われていたと読売新聞が報じた。

 読売によれば、すでに「KADOKAWA」の角川会長への任意での事情聴取を実施。現社長の夏野剛氏は報道各社の取材に「犯罪行為はなかったと聞いている」と説明。同社ホームページでも「東京地方検察庁による任意の捜査に協力していることは事実。内容等に関するコメントにつきましては、捜査中につき差し控えさせていただきます」とコメントしている。

 KADOKAWAは出版社の角川書店が母体で、ニコニコ動画を運営するドワンゴと統合会社を設立し、出版、映像、ゲームと手広く事業を展開。東京五輪では出版部門でスポンサーに選定され、大会公式パンフレットやガイドブックなどを出版した。

「角川歴彦会長は、兄の春樹氏との内紛騒動に勝利し、ドワンゴとの経営統合で、いち早くデジタル事業を手掛けてきたやり手。それだけに今回の疑惑に会長がかかわっていたのか、一部の幹部によるものなのかが今後の焦点です」(出版関係者)

 KADOKAWAを巡っては、ドワンゴを創業したKADOKAWA元社長で現取締役の川上量生氏が、FC2創業者の高橋理洋氏とネット上で、特許訴訟に端を発した法廷外バトルを展開。ガーシー(東谷義和氏)やNHK党の立花孝志党首らも参戦する騒動があった。

 今回の7000万円の資金提供は、2019年4月の五輪スポンサー締結後で、川上氏が同社社長を退任した後だが、高橋理洋氏は「組織的な犯罪隠蔽を暴露」と題したKADOKAWA幹部の脱税疑惑を追及すれば、立花氏も川上氏に絡まれた背景に「(今回の事態を)想定して、僕に対してジャブを打ってきたんじゃないかな。これから、いろんな暴露が展開されるのではないか。KADOKAWAの役員たちが逮捕される可能性もある」とみている。

「特捜部は高橋容疑者への内偵は以前から進めていたとはいえ、森元首相の名前が挙がるなど、安倍晋三元首相の死去で全く遠慮がなくなった。とにかく大物、バッジ付きを逮捕したい一心。まだまだ名前が出てくるでしょう」(永田町関係者)

 高橋容疑者とズブズブだった関係者は眠れない日々が続くことになりそうだ。