柔道界がまたまた“疑惑の選考”に揺れた。17日に全日本女子選手権(横浜文化体育館)が行われ、山部佳苗(25=ミキハウス)が2年ぶり3度目の優勝。リオ五輪女子代表で唯一決まっていなかった78キロ超級代表の座も手にしたが、その選出をめぐり、全日本柔道連盟の強化委員会では反対の声が続出した。すっきりしない結果となった舞台裏で、いったい何が起こったのか――。
代表選考レースで2番手と言われていた山部は、決勝で最大のライバルだった田知本愛(27=ALSOK)と対戦。気迫と意地がぶつかる戦いとなったが、残り50秒となったところでアクシデントが発生する。田知本が左ヒザを負傷し、立ち上がるのもままならない。これで優位に立った山部は隅落としからの横四方固めで一本勝ちした。
田知本は担架で救護室に運ばれ、その後、病院に搬送された。この大会の結果にかかわらず、田知本の五輪代表入りが有力とみられていたが、ケガを負ったことで状況は一転。選考は展開が読めない状況となる。
混乱の中、報道陣に公開される形で行われた強化委員会は予想通り、大荒れとなった。事前に南條充寿監督(43)とコーチ陣が協議して選んだ原案は山部。しかし、これに3人の強化委員が次々に反発した。
その理由は国際大会での実績だ。世界ランキングは田知本が5位で山部は12位。
直近の国際大会である2月のグランドスラム・パリ大会では田知本が優勝し、山部は初戦敗退だった。
山部はパリ大会後、今大会を含む国内2戦を連勝したが、海外に弱いイメージを払拭できなかった。また、男子代表の選考では競った階級で国際大会の戦績が重視された経緯があり、ある強化委員は「(選考の)スタンダードが変わっていると思わざるを得ない印象」と痛烈に批判した。
最終的には「それほど明らかな差はあるのか。最後に2戦取った山部でいい」などの意見で決着したが、挙手による多数決は行われなかった。また、男子の選考では資料に明記されていた国際大会の勝率や世界の強豪との対戦成績が山部と田知本の比較では明記されておらず、別の強化委員は「山部ありきの選考」と公平性を疑問視した。
これまで何度も物議を醸してきた柔道の五輪選考。強化委員長を兼ねる全柔連の山下泰裕副会長(58)は「山部は優勝だけじゃなく、内容もはるかによかった。順当だと思う。いいところを出し切れば、金メダルのチャンスがある」との見解を示し、選出は妥当と強調したが…。
選考の難しさを改めて浮き彫りにする結末となった。












