父の日に拳銃はいかが?

 ミネソタ州ミネアポリスで白人警官が黒人男性を死亡させた事件を受け、全米でデモが激化している。

 西部ワシントン州シアトルでは11日、約500人のデモ隊が市街地の一角である市庁舎周辺にバリケードを築き、自治区を設置。ラッパーのラズ・シモンは、銃で武装し自治区をパトロールするなど、リーダーのように振る舞う人間も現れた。

 こうした動きにトランプ米大統領は「シアトルを乗っ取った国内テロだ」と激怒。自治区を容認した民主党のジェイ・インズリー州知事とジェニー・ダーカン市長を非難し「自分たちの町を取り戻せ。今すぐだ。やらないなら私がやる」「これはゲームじゃない。醜い無政府主義者をストップすべきだ。今、すぐにだ」と連続ツイートした。

 同様の動きはワシントン州の南にあるオレゴン州ポートランドを始め、全米でも広がりつつあるという。

 シカゴ在住の40代男性は「治安は悪化しています。先日、こちらでも真昼に銃撃事件があり、夜間外出禁止令が出ました。今週末には市内5か所でデモが行われる予定で、日本領事館から(デモには)近付かないよう通達がありました」と話す。

 米国では日本と同じく6月21日に「ファーザーズデイ(父の日)」がやって来る。もっか“父の日商戦”の真っ最中で、チラシには目玉商品に拳銃が並ぶことも少なくない。本紙が入手したチラシではシルバーの拳銃が599・99ドル(約6万5000円)で売られていた。

 前出の男性は「子供がお小遣いをためて、『パパ、いつもありがとう』と拳銃代金をプレゼントするのです。新型コロナとデモによる治安の悪化で、銃の売り上げは好調のようです」と話す。日本では想像できない世界だ。