WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(33=志成)が時勢に逆行した戦いに挑む。7月13日に東京・大田区総合体育館で行われる同級1位ドニー・ニエテス(40=フィリピン)との防衛戦はTBS系列で午後9時から全国生中継される。格闘技界の〝地上波離れ〟が加速する中、今の風潮に流されず地上波にこだわる井岡陣営の信念とは――。

 V5戦に臨む井岡は2日の会見で、2018年大みそかに判定負けしたニエテスに対し「もう一度、拳を交える日が来た。どちらが真のチャンピオンか証明したい」とリベンジを誓った。一方、タイトル戦の詳細が公表されると、SNSでは「井岡は地上波格闘技の最後の希望」「今の時代に地上波でやる井岡、TBS、ありがとう」と歓喜の声が殺到。いまや地上波放送が定番の井岡戦はファンにとって貴重なコンテンツと言える。

 現在、格闘技のビッグマッチは「テレビで見られない」が当たり前。4月に行われた元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(帝拳)と同級統一王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の一戦、7日に行われるWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)とWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)の3団体統一戦はともにテレビ中継がなく、Amazonプライム・ビデオが動画配信。事情は違えど、那須川天心(23)とK―1エース武尊(30)の世紀の一戦「THE MATCH 2022」(19日、東京ドーム)もフジテレビが中継を見送って業界に激震が走った。

 一方、井岡はTBSとのタッグで毎年のように大みそかで試合を行ってきた。井岡陣営の一人はマッチメークする上で地上波中継を「最優先にしている」と語り、おカネより中継局との〝仁義〟を大切にする。また、井岡自身もテレビ中継に大きなこだわりを持つ。以前、本紙の取材に「放送してもらっている限り、注目されて視聴率に貢献したい。中継して良かったと思われたい」と口にしており、ボクシングを知らない人に自身のパフォーマンスを届けることも重要だと考えている。

 地上波離れに賛否はあるが、井岡の姿勢がファンに希望を与えていることは間違いない。