【氷上の絶対王者を大解剖(4)】その影響力はとどまるところを知らない。北京五輪で3連覇&世界初の大技クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦するフィギュアスケートの羽生結弦(27=ANA)は、競技の枠を超えて絶大な「人気ぶり」を誇っている。

 ここ数年、博報堂DYメディアパートナーズが年2回のペースで行う「アスリートイメージ調査」では、野球界のスーパースター、大谷翔平投手(エンゼルス)と常にツートップを形成。冬季スポーツ界では人気面でも「絶対王者」に君臨しており、これまで様々な分野からオファーを受けてきた。

 まずは小中学校の教科書を製作する出版社。震災を経験した羽生が世界ナンバーワンに上り詰めるストーリーは多くの「道徳」の教材になっており、文部科学省の担当者によると女子レスリング五輪3連覇の吉田沙保里、米大リーグ・マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏、白血病を克服した競泳女子の池江璃花子らと並ぶ人気だという。廣済堂あかつき社は「ふるさとにとどけ。希望の舞」のタイトルで小学4年生の道徳の教科書に採用。前回の平昌五輪金メダルの快挙を記載する教科書も出始めており、今後も継続して登場する可能性が高い。

 羽生はSNSを一切活用していないが、期間限定のブログを公開すると一気にトレンド入り。昨年9月には化粧品メーカー「コーセー」の公式ホームページ「KOSE SPORTS BEAUTY NEWS」で自身の肉声とともにファンへのメッセージをつづった「こえのブログ」に取り組むと、ツイッターで拡散され、多数の高評価が付けられた。仮に羽生が公式ツイッターやインスタグラムを始めたら、フォロワーは何万人になるのだろうか…。

 一方、羽生関連のグッズも数多く存在する。所属契約するANAが1月27日から発売している「YUZUボトル」「YUZUタンブラー」は大反響。他にも羽生の写真が入ったTシャツ、タオル、クリアファイルなどは時期を問わずネット上で人気を誇る。また、平昌五輪の思い出が詰まった「バラ1」「SEIMEI」の曲が収録されたオルゴールは18年10月の発売と同時に予約が殺到。その後も断続的に売れ続けるヒット商品となり、ファンにとって「お宝」だ。

 もちろん、チケットの売り上げにも多大な影響を及ぼす。もともとフィギュアの大会は競争率が激しいが、羽生が出場となると争奪戦は激化。入手困難となるばかりか、試合会場の周辺にある全てのホテルがあっという間に満室となってしまう。一方、羽生の欠場すると譲渡目的のチケットが市場に大量発生。昨年11月にケガのためグランプリシリーズNHK杯の欠場を発表した際は公式チケットトレードサービス「チケプラトレード」に〝売り注文〟が殺到し、たった一日で約3000枚も取引されてしまった。まさに羽生人気を物語る現象となった。

 北京五輪で新たな金字塔を打ち立てれば、その人気が伝説級になることは間違いない。