大阪市西成区の生まれでキリスト教の牧師であるアーサー・ホーランド氏(64=本名・岡田正之)は、自らを“不良牧師”と言い、暴力団を抜けた人々も参加するクリスチャン集団のリーダーだ。背中にはビシッと入れ墨を入れている。“教会”というものは、持っていない。いま話題の人物を本紙が直撃した。
40代のころ、アーサー氏は「人が教会に来ないなら、オレが人のいるところに行こう」と決意した。白いスーツを着て新宿のアルタ前で路傍伝道を始めると、そこには、いろいろな人間が集まってきた。これがきっかけで、元暴力団の人がイエス・キリストの教えを請うようになり、その後、元暴力団の男性が数人加わると、「ミッション・バラバ」というクリスチャン集団が生まれた。結成後は、彼らとともにアメリカ西海岸を旅行して講演を行った。
「『弱きを助け強きをくじく』という任侠映画を見てオレは育ったんだけど、本物のヤクザの話を聞くとヤクザの世界は全然違う。むしろ逆かもしれない」
そこでアーサー氏は集会に来た暴力団の親分にこう言った。
「絶対、辞めろとは言いません。その代わり『弱きを助け強きをくじく』親分さんになってください。そうなる秘訣は、ジーザスなんです。彼は、我々の尻拭いをして十字架ではりつけにまでなった。糞も小便も垂れ流しながら、それほどまでにオレらを愛し、俺らの罪の身代わりになってくれた。これこそ義理と人情の侠客のなかの侠客ですよ」
するとその親分は「アーサー先生、これで私もいいヤクザになれそうです」と言ったという。
元海兵隊員の父と日本人の母を持つアーサー氏は現在、「日本キャンパス・クルセード・フォー・クライスト」というプロテスタント系キリスト教宣教団体に所属している。日本でハイスクールを卒業後、20歳で米国に渡り、23歳で洗礼を受け、39歳くらいのときに牧師となっている。
昨年、カリフォルニアからニューヨークのロングビーチまで、40キロもある手製の巨大十字架を担いで「アメリカ横断十字架行進」をスタートさせた。今年6月にゴールするまでに踏破した距離は約5000キロ。全行程を徒歩で踏破した。
「十字架を背負って歩いていると、そこに引き寄せられてくる人間がいるんだ。オレはそれを“飛ばされてくる”って言うんだ。ヤクザだろうが娼婦だろうが、みんな腹が減れば食事をする。本来は教会って誰でも来れるレストランみたいなものなんだよね。魂のレストラン。オレは、“レストラン・オブ・ソウル”って言ってるんだ。腹が減るように心も飢え渇くんだよ」
アーサー氏の祖父母は、西成で「春日」という大衆食堂を経営していた。そこを訪れる人間との出会いが、現在のアーサー氏の思想に大きな影響を及ぼしているという。
「オレは教会に来ない人に語りかけるのが役目だと思ってる。ジーザスが村々を歩き回ったようにね。だからオレは教会を持たないで日本全国を大型バイクで走りながら回っている。神は、教会の外にいるんだ。きっと多くの人が教会に魅力を感じないのは、教会にいるヤツらがつまらないからさ(笑い)」
アーサー氏は、日本全国にある教会の他、ライブハウスなどでもトークライブを行っている。このトークには、筋書きというものはない。すべての人たちの心を解放して、生きてゆくという勇気と喜びを、分け与えてくれる存在なのだ。












