昨年大みそかに“最強王者”の呼び声が高いWBA・WBO世界スーパーバンタム級王者ギジェルモ・リゴンドー(34=キューバ)に挑戦して、一躍名を上げたのが天笠尚(29=山上)だ。試合には敗れたものの、7回に2度のダウンを奪い日本中に夢と希望を与えた。この大激闘の裏には何があったのか。果敢なチャレンジで壮絶に散ったボクサーが、一世一代の晴れ舞台の“真実”を明かした。
――改めてリゴンドー戦を振り返って
天笠:本当に楽しかったなって。人生のハイライトというような出来事だったと思います(笑い)。
――オファーの段階で周囲から反対の声は
天笠:もちろん、ありましたよ。家族は結構反対で。母親(和美さん=59)も「やめとけば? そんな強いんなら。危ないんじゃないの?」とか。でも、決まってからはポジティブに調整できましたね。
――リゴンドーの印象は
天笠:パンチ力だけが誤算だったかな。キレがあるのは予想してたけど、重さがすごかったですね。ハンマーみたいでした。
――何かに例えるとしたら…
天笠:タイガーとかヒョウみたいな感じ。「同じ人間か?」って思うくらい身体能力が違うなって。
――それでも2度のダウンを奪った
天笠:その後、喜びすぎたのが大失態ですけどね。イメージ通りすぎて。2回目は効いてたと思うんですけど。唯一悔やむところがあるとすれば、あそこで一発で沈めちゃうようなアッパーとかを選択してたら…とかは考えてしまいますね。
――試合後の反響は
天笠:ボクサーとして評価してもらってうれしいですけど、半面「勝ててたらな…」と思いますね。
――勝てば、ビートたけし本紙客員編集長からスポーツカーをもらえる約束をしていた
天笠:買ってもらいたかったですけどね。ただ実は言えなかったですけど、免許を持っていないんですよ(笑い)。
――ではリゴンドー戦のファイトマネーでまずは運転免許証を
天笠:免許は本当、機会があればいつでも狙ってるんで。あとフェレットを2匹買って溺愛してるんで、お金かけてあげたいですね。それでたまにはギャンブルもやって…。競馬、結構好きなんですよ。アンカツさん(安藤勝己元ジョッキー)のときは東スポ、必ず買ってますよ。
――競馬は勝つのか
天笠:三十何万(円馬券)かが2回くらいあるくらいで。僕なんか下手くそですよ。アンカツさんのコーナーはすごいなと思います。
――そこで勝負勘を磨いていると
天笠:ボクシングもギャンブル的要素ってあると思うんですよ。その時その時でどんなパンチをチョイスするのかっていうのもありますし。無理やり結びつけちゃってますけど。
――今後の目標は
天笠:フェザー級でチャンスが頂けるのであればチャレンジしたいですね。今は4団体全員強い王者なので。個人的には(WBC王者)ジョニー・ゴンサレス(33=メキシコ)はすごくかみ合いそうだなとは思います。打撃戦のほうが僕にもチャンスがあると思うんで。
――「無謀」と言われた挑戦から得たものは
天笠:リゴンドー戦はボーナスステージみたいなもんなんですけど、ボクシングをやってる意味をイチから考え直させられたというか。強い王者に勝って王者になることが本当の意味でのボクサーの挑戦だと思うので。そういう試合に最高のやりがいを感じますね。
(インタビュー・岡本佑介)












