春日野部屋が傷害事件を“隠蔽” 角界の不祥事「無限ループ」突入か

2018年01月25日 16時30分

昨年12月の冬巡業では貴乃花親方に代わり、巡業部長代理として日馬富士暴行事件についてファンに謝罪していた春日野親方

 いったい、どこまで続くのか。大相撲の春日野部屋に所属していた力士が弟弟子の顔を殴って傷害罪で起訴され、2016年6月に懲役3年(執行猶予4年)の有罪判決が確定していたことが24日、発覚した。角界では元横綱の傷害事件や立行司のセクハラ行為が大騒動になったばかり。今後も内部告発などで別の“新事実”が明るみに出る可能性があり、角界全体が不祥事の「無限連鎖」に陥りかねない状況となった。

 今回発覚した傷害事件で被害者となった弟弟子(22)は2014年2月に入門し、同年3月の春場所で初土俵を踏んだ。事件が起きたのは入門から7か月後の9月のことだ。弟弟子は加害者の元力士(23)から顔を殴られ、あごを骨折。味覚消失などの後遺症が残る重傷で、全治1年6か月と診断された。元力士が部屋の掃除の仕方を注意しようとした際にトラブルになったのが原因だったという。

 大ケガで引退を余儀なくされた弟弟子は同年10月、傷害容疑で元力士を刑事告訴。その後に元力士は東京地検に起訴された。元力士は15年7月の名古屋場所後に引退。東京地裁は16年6月に元力士に対して懲役3年、執行猶予4年の判決を言い渡し、有罪が確定した。弟弟子は必要な治療を受けさせなかったとして師匠の春日野親方(55=元関脇栃乃和歌)も告訴していたが、こちらは不起訴処分となっている。

 弟弟子は「若手力士の間では他にも暴力事件があると思う。協会は隠さないで全て公表してほしい」と訴える一方で、元力士は「殴ったことは悪かった。自分自身の問題で部屋が悪いわけではない」と話しているという。また、日本相撲協会の理事で師匠の春日野親方は、共同通信の取材に対して「(力士は)辞めてますから」と答えるにとどめた。

 今回の事件に関して相撲協会は「(事件は)春日野より報告されており、理事及び親方として対応に問題はなかった」とコメントした。すでに事件が終結していることもあり、春日野親方の責任は不問とする構えだが、大相撲における暴力の実態が改めて浮き彫りになった格好だ。

 それにしても、なぜ2年も前の事件が今になって表面化したのか。

 背景にあるのは、大相撲で相次いでいる不祥事だ。角界では元横綱日馬富士(33)の傷害事件や立行司の式守伊之助(58=宮城野)のセクハラ行為が大騒動となったばかり。開催中の初場所(東京・両国国技館)でも8日目(21日)に十両大砂嵐(25=大嶽)の無免許運転疑惑が発覚し、またも騒動となった。次々と問題が発生したことで、世間の反応が敏感になっていることは間違いない。その流れに触発されて内部告発などが増えれば、今後も別の“新事実”が続々と公になる可能性もある。

 実際、過去には刑事事件にまでならなくとも、暴力などの不法行為が原因で民事訴訟になった事例が数多く存在する。それこそ訴訟に至らなかったケースまで含めれば、その全体の数は想像もつかない。相撲界全体がスキャンダルの「無限連鎖」に突入しかねない状況だ。

 そのとき、果たして相撲協会は対応しきれるのか。もはや大相撲は“崩壊”の危機に直面していると言っても、過言ではなさそうだ。

【八角理事長の理事任命責任は】

 事件発生から元力士の有罪確定までは1年9か月かかったが、その間、師匠の春日野親方の立場も大きく変わった。春日野親方が不起訴になってから約1年後の2015年11月に当時の北の湖理事長が死去。翌月に八角親方(54=元横綱北勝海)が理事長に就任した。

 年が明け、16年1月に春日野親方は相撲協会の理事に初当選し、同3月には八角理事長の再選に伴い、広報部長に就任した。元力士に東京地裁が有罪判決を下したのが同6月。つまり、八角理事長は春日野親方が元力士の案件を抱えているのを知りながら、執行部にとどめたことになる。

 元力士が引退後の話で名義上は無関係になっているとはいえ、当事者と言っていい人物を執行部の要職に任命した八角理事長の責任を問う声が上がってもおかしくはない。理事長の指導力については、かねて対立する貴乃花親方(45=元横綱)が厳しく指摘してきたこともあり、初場所後に行われる理事候補選挙と新執行部発足にまで影響を与えそうだ。