日本相撲協会が新型コロナウイルスの抗体検査を開始した。対象者は親方、力士、行司、呼び出し、床山ら協会員の希望者全員で、各部屋ごとに実施する。広報部長の芝田山親方(57=元横綱大乃国)は「抗体検査は本日(18日)からスタートし、2部屋43人が検査を受けた」と説明。今後は1日2~3部屋(40~50人程度)のペースで行われ、約1か月かけて全45部屋(約1000人)の検査を終える予定だという。

 すでに相撲協会は5月の夏場所の開催中止を決定。7月場所(7月19日初日)は名古屋から東京(両国国技館)へ会場を変更した上で、無観客開催を目指している。これまでに角界内では7人が新型コロナに感染し、13日には三段目力士が28歳で死去する悲劇も起きた。今回の抗体検査は三段目力士が死去する以前から計画されていたものだが、感染状況を把握することで力士ら協会員の不安を取り除く効果も期待されている。

 ただ、これですべての不安が払拭されるわけではない。抗体検査は少量の血液を採取し、ウイルス感染後に体内にできる抗体を検出することによって過去の感染歴を調べる方法。一方で、実際には感染していなくても陽性反応が出るケース(偽陽性)があるなど、検査の精度に課題があるとされている。

 相撲協会は専門家の意見を踏まえた上で、検査結果を新型コロナの感染拡大防止策に活用していくとしているが…。角界の試みは功を奏するのか。今後の動向に注目が集まる。