羽生結弦の「人類初クワッドアクセル」基礎点巡り水面下で論争…陰謀論まで飛び出した!

2021年04月19日 05時15分

エキシビションで演技する羽生結弦(代表撮影)
エキシビションで演技する羽生結弦(代表撮影)

 フィギュアスケートの五輪2連覇・羽生結弦(26=ANA)の「夢」を巡り、ある論争が水面下で巻き起こっている。かねて目標に掲げる人類初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)の基礎点について「低すぎる」「妥当だ」と意見が真っ二つに割れているのだ。本紙が複数のフィギュア関係者を取材したところ、ルール変更における〝陰謀論〟まで飛び出している。

 今季最終戦となった世界国別対抗戦(丸善インテックアリーナ大阪)はロシアの優勝で幕を閉じた。羽生はショートプログラム、フリーともに2位に終わったが、最終日の練習(17日)の4回転半ジャンプ挑戦は大きな反響を呼んだ。試合の結果よりも練習に注目が集まるのは、羽生でしかあり得ない現象だった。

 前人未到の技を観客の前で試した意図について「試合の場所でやっていることに意義があるかなと。刺激が少ない中でやるよりも、すごい上手な選手がいる中でやった方が自分のイメージも固まりやすい」と説明。一度も成功することはなかったが「もっといいです、本当は。もっと(完成に)近くなっていると思います」と明かした上で「自分の限界に挑み続けたい」と目を輝かせた。

 そんな中、国際スケート連盟(ISU)に規定される4回転半の基礎点「12・5点」を巡って賛否が渦巻いている。本紙は複数のスケート連盟関係者に取材を敢行。センシティブな問題ゆえ「実名を伏せる」という条件が付いたが、関係者の多くは「妥当だ」と答えた。

 その一人、連盟幹部は「4回転半は夢がある話だけど、これ以上ジャンプが進化すると選手の体が壊れてしまう。それにフィギュアは何回転するかだけ競っている〝ジャンプ大会〟ではない」と主張。また別の関係者も「スピンやステップを含めた芸術性を見せる競技。作品全体のバランスを考えたら12・5点が適当」と話した。

 一方で、否定派からは他の4回転ジャンプ(トーループ、サルコー、ループ、フリップ、ルッツ)との比較を指摘する声が多い。3回転→4回転の基礎点上昇度が他のジャンプは2倍前後なのに対して、アクセルは約1・5倍。明らかに低いという理屈だ。

 さらに、現在の基礎点に至ったタイミングに疑念を抱く意見もある。羽生が平昌五輪で金メダルを取った2017―18年シーズンまでは「15点」だったが、翌シーズンから2・5点も〝減点〟。まさに羽生が4回転半への挑戦を公言し始めた時期と重なるのだ。ある関係者は「ISUの真意は分からないが」とした上で「羽生選手の挑戦と全く無関係とは思えない。秀でた日本人選手をターゲットに国際ルールが変わるのは他競技でもあること」と指摘した。

 いずれにせよ、別次元のステージを目指す絶対王者にとって「勝敗」や「得点」は二の次。議論自体が無意味とばかり、世界初の夢に突き進むことだろう。

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