米国で早くも2028年ロサンゼルス五輪の反対運動が活発化している。

 米放送局「KCET」は「東京五輪は終わったが、ロサンゼルス五輪反対の戦いが始まった」と同五輪の反対運動を特集した。

 同地で活動する団体「住宅と人種的正義のグループ連合」を先導しているカリフォルニア大学ロサンゼルス校のアナーニャ・ロイ教授は「オリンピックの光景は一見夢のようなイメージに映るが、実際には悪夢だ」と主張。東京五輪のように巨額な支出が避けられない点を問題視したうえで、同国特有の問題も注目を集めている。

 反対運動がロサンゼルス五輪を危惧する主な理由は、現地の警察権力の不当な強化と、五輪開催のための土地開発により多くの貧困層が地域から排除される点だ。

 同局は「LAPD(ロサンゼルス市警察)の職員を強化したり、五輪期間中に犯罪を取り締まる新たな方法を導入すれば、五輪後にそれを変えづらくなる」と指摘。警察権力の過剰な強化は人種差別問題と関連して現地では反感が強いが、五輪開催を口実に世論の反対が押し切られるとの懸念だ。

 また「五輪は土地開発をスピードアップする口実を作り、低所得地域を都市の富裕化現象を推し進めて新しい豪華な建物をもたらす。警察の〝軍事化〟と、最も貧しく、最も脆弱な人々を対象とした排除は、五輪との世界的な戦いの緊急性を明らかにしている」と問題視した。

 国によって事情は異なるものの、利権まみれの一部の富裕層だけが得をする五輪の構造はどこも同じ。ロサンゼルス五輪にも今後厳しい目が向けられそうだ。