きものを世界へ 東京五輪延期で宙に浮いた4億円善意の行方 

2021年01月09日 11時48分

イマジンワールドの理念は「世界はきっとひとつになれる」

 2020年に開催予定だった東京オリンピックは、今年に延期されたが、人生を狂わされたのは出場選手だけではない。東京オリンピックに合わせた平和プロジェクトに参画するために、長年勤めた大手企業アシックスを退社した手嶋信道さんもその一人だ。くしくも緊急事態宣言が出された1月8日に54歳の誕生日を迎えた。

 世界中の国々を表現した213の着物と帯を制作し、着物を通じて世界をつなぎ、平和のメッセージを伝える「KIMONOプロジェクト」の主宰「一般社団法人イマジンワンワールド」の代表理事である手嶋さんはこう語る。

「多くのボランティアの皆様のご協力で、4億円以上もの募金が集まっているのに、オリンピックが開催されないのは困ります。中止になったら、次のパリ・オリンピックに持ち越しでしょうか。日本の民族衣装の着物で、世界各国を表現するというプロジェクトに賛同してくださった方々のご厚意を踏みにじってしまうのは残念でなりません。アスリートが頑張っている姿は人々を感動させ、明日への希望と勇気を与えますから、コロナに勝つためにも開催してほしいです」

 アシックス時代には、東京マラソンなど数々のイベントを担当したという手嶋さんの言葉には説得力があり、世界各国の大使館が協力してきた。

 21年の東京オリンピックを目指して、直接オリンピックにはつながらないイベントを断り、外務省等の省庁関連行事に注力してきたというイマジンワンワールドは当初のオリンピック開催予定日の20年7月24日に各国平等に200万円の制作費でKIMONO(振り袖と帯)が完成したことを発表している。制作費は全て寄付で賄われ、ボランティアによって運営されている。