延期追加費用6000億円押しつけ合い IOC、組織委、都、国のどこがどれだけ払うのか

2020年04月16日 11時00分

来夏に国立競技場で東京五輪は無事に開幕できるのだろうか

【どうなる?東京五輪パラリンピック(18)】いったい、誰が支払うのか。新型コロナウイルス感染拡大の影響で史上初の延期となった東京五輪。コロナ禍終息への見通しは立たず、世間からは「五輪どころではない」との声が聞こえてきそうだが、現実問題として延期でかかる巨額の追加費用は無視できない。約6000億円とも言われる莫大なカネを巡って、水面下では国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委員会などのシ烈な駆け引きが勃発。そのあおりを受け、競技会場となる現場からは「自腹」を恐れる声も…。シビアな実情に迫った。

 東京五輪の1年延期が決まって以来、追加経費をどこが負担するのかは大きな問題だった。全43会場の借り換え、選手の宿泊施設の確保、人件費…と挙げればキリがない。大会組織委員会の高谷正哲スポークスマン(41)は「現時点で経費を見込むことは簡単ではない」と具体的な試算額を明かしていないが、一説には3000億~6000億円とも言われる。

 この莫大な追加コストはIOC、組織委、東京都、国が協議を重ねた上で負担の比率を決定することになるが、早くもシ烈な駆け引きがスタート。

 まず“先制攻撃”を仕掛けたのはIOCのトーマス・バッハ会長(66)だ。ドイツメディアのインタビューでIOCの負担費用は「数億ドル(数百億円)」と発言。正式な試算額が示される前のけん制とも受け取れる。

 組織委の高谷氏は「どういうニュアンスで発言されているのか、なかなかとらえることができない表現」とした上で「関係団体との話し合いになりますので、具体的にどういったカードを切って交渉のテーブルに臨むかをお伝えすることは適切ではない」と話すにとどまった。

 もともと大会開催経費は東京都と組織委が各6000億円、国が1500億円。この「6、6、1・5」の比率をベースにするのか。IOCは何割程度を拠出すべきなのか。誰もが未経験な事態だけに先行きは不透明。それゆえ、まるで飲食店の会計時に伝票を押しつけ合うかのごとく、水面下でバチバチのバトルとなっている。

 しかも、その裏で戦々恐々なのは現場だ。ある競技施設関係者は会場名を伏せて実情を明かす。

「交渉が正式にまとまるまでの費用って基本は持ち出しなんですよ。細かいことですが、打ち合わせでかかる交通費や通信費、人件費など意外とばかになりません」

 簡単にいうと先行投資だ。しかし、実際に負担する団体が決まっていないだけに「最後は鶴の一声で会場側に一部経費を負担させるケースなんかもあり得ますね」と疑心暗鬼に陥っている。

 何より前出関係者が最も恐れているのが「五輪中止」だという。「世の中を見ていると本当に来年に開催できるのか、と心配になる。あまり費用をかけても中止になったら、これまでの持ち出しが回収できないので不安で仕方ありません」

 最後にしわ寄せがくるのは常に現場。この悲鳴はお上に届くか…。