現存する最古級の団地「中野駅前住宅」解体へ

2019年08月06日 07時15分

昭和の雰囲気が残る「中野駅前住宅」

 現存する最古級の団地で、1951(昭和26)年、終戦から6年後にできた「東京都住宅供給公社中野駅前住宅」の完全解体が始まろうとしている。

 築68年を迎えたこの団地は、現在の「東京都住宅供給公社」が建てたもの。51年といえば、日本の団地建設を推進した「日本住宅公団」もまだ誕生していない時代だ。

 鉄筋コンクリート造りの4階建ての賃貸住宅。JR中野駅から徒歩3分の距離にあり、駅のホームからも見える。敷地面積は約1万200平方メートルで、1号棟から7号棟まで7棟あり、総戸数は248戸ある。1号棟から5号棟までの5棟が南面を向く平行配置となっていて、6、7号棟が直交配置となっている。

 敷地内に入ると、タイムスリップしたかのような不思議な感覚に陥る。洗濯物を干している家庭もあれば、階段の入り口にはホウキやチリトリなどが置かれているところもあり、しっかりと生活感がある。

 南面の一番端のバルコニーには避難用の階段が取りつけられており、工場にあるような建築物にも見える。都会のど真ん中に「昭和」がある。

 年々、JR中野駅周辺は、小ぎれいな街へと変貌しつつある。2012年には、駅北西側に「中野四季の都市」が造成された。再開発は続けられている。そんななか、同団地の最後の姿を見ようと、団地マニアや懐古マニアが“巡礼”に訪れている。

 団地マニアのけんちんさんは「団地創成期の昭和20年代築の建物が、令和時代に残っていることがすごい。ましてや駅前の超好立地で残っている中野駅前住宅は奇跡のような団地です」と語る。

 跡地には東京都住宅供給公社の賃貸マンションが建てられる。1号棟の近くには「新築賃貸 駅徒歩3分 コーシャハイム中野フロント」などと書かれた横断幕も。募集は23日から。ちなみに募集戸数は150戸で1ルームから2LDK、賃料は約13万~23万円。礼金、仲介手数料、更新料は0円。入居予定は今年10月中旬となっている。