足立区「コルク狩り」事件の背景

2017年06月22日 07時00分

狩りの対象となるヤンキー御用達のコルク半

 まだヤッてるのか!? 警視庁綾瀬署は20日までに、江東区の無職男性(20)を殴ったうえにバイクやヘルメットなどを盗んだとして、いずれも足立区居住でとび職の少年AとB(ともに18)、無職の少女C(17)を強盗傷害容疑で逮捕した。3人は地元でも札付きの不良メンバーで「足立区のルールでコルク(コルク材を使っているバイク用のヘルメット)をかぶるとタダでは済まない」と因縁をつけて暴行を加えたという。まるで“ひと昔前のヤンキー”的な所業だが、調べてみると――。

 3人の逮捕容疑は、2月27日午前4時45分~5時40分の間、足立区内の公園で「足立区のルールではコルクをかぶるとタダでは済まない」などと脅して、たばこの火を頬に押し付けたり、殴る蹴るの暴行を加えて「コルク半」と呼ばれるツバ付き半帽ヘルメット(2万5000円相当)と、125㏄のスクーター「マジェスティ」(15万円相当)を脅し取った疑い。

 少年2人が容疑を認める一方、少女Cは「止められたから手を出していない。バイクは借りただけ」と否認している。

 コルク半は、内部の緩衝材にコルクが張られていたことが名前の由来。かつて暴走族に愛用された「日章コルク」など日章旗を塗装するなどのバリエーションがある。現代の一部のワルガキの間でも“不良の象徴”としてまだ機能しているのだ。

 地元で幅を利かせる不良がコルク半を奪うのは「コルク狩り」と呼ばれている。

 2013年には、大田区でも17歳の少年らが埼玉県の少年に「誰に許可を取ってコルクをかぶっているんだ。大田区ではダメだ」などの因縁をつけてバイクとコルク半を奪い取る事件が起きた。

 ヤンキー文化に縁のない者たちが「コルク狩り」という珍妙な言葉に反応。ネット上では「絶滅危惧種の田舎のヤンキーがする事だろww」「足立区には山賊が出没するのか」とあざけ笑うコメントがあふれた。今回の事件も同様の「コルク狩り」に見えるが、追跡してみると少々事情が異なるようだ。

 加害者の少女Cは被害者の男性の元交際相手だったのだ。Cは「会いたい」と連絡して男性を公園に呼び出した。

「付き合っていたときに恨みがあったのかは分からないが、少女が暴行の主体となった。『バイクかコルクか置いてけ』と脅して、拒否されたら根性焼きしたり、殴ったりした」(捜査関係者)

 愛憎入り交じった末に、足立のルールを持ち出して江東区居住の元カレに引導を渡したようだ。

 さらに、Cが引き連れていたAとBの素性も明らかになった。

「綾瀬面子(あやせめんつ)」と呼ばれる不良集団の元メンバー。16~17歳を中心とした不良集団で、地元関係者は「足立エリアの特定の中学を卒業したツッパリの集まり」と眉をひそめる。

「綾瀬面子」は15年にも、敵対する葛飾区の集団を相手に傷害事件を起こし重軽傷を負わせた。当時の報道によると、綾瀬面子内の集まりが悪いことなどから、暴行によって結束を高めようとした。リーダー格の少年は「今日のお前らかっこよかった」などとLINEでメンバーをねぎらったという。この事件後も綾瀬面子というネーミングが「ダサい」としてネット上が大盛り上がりし“祭り”になった。

 チームの結束を重視しており、仲間の1人を標的にしてリンチすることも多いという。

 捜査関係者は「容疑者のAは5月12日にも傷害事件を起こして逮捕されている。15歳の少年相手に6人がかりで暴行を加えた。これも綾瀬面子の仲間内でのゴタゴタで『あいさつがなってない。生意気』というのが理由」と明かす。

 少女と少年らも同じ中学を卒業したという。足立区のワルにしか通用しないルールを強要するのは「ダサい」と思われていることに、そろそろ気付いてもらいたいものだ。