
ソニー生命の海外子会社の社員が約170億円を不正送金し、逮捕された事件で、回収手続きを進めていた同社がなんと約220億円の返済を受けられることになった。
事件は昨年5月、同社の海外子会社「SAリインシュアランス」に出向していたソニー生命元社員・石井伶被告(33)が約170億円を不正送金。同社は回収作業として司法手続きをしていたが、12日、カリフォルニア州南部連邦地裁が全額返還命令の判決を言い渡した。
ここまでは当然の結果だったが、驚くのはその返還予定額が1億6100万ドル(約220億円)となったこと。
「不正送金された170億円が暗号資産に投資、転換されていて、それが220億円に増えていた。ソニーにしてみれば不正に使われて回収できなければ、上層部は総退陣もあり得るくらいの不正で、すでに減給3か月などの処分や、再発防止策なども発表していましたが、意外にも50億円も増えて戻ってくるという予想外の結果に、上層部もホッと胸をなでおろしているようです」(同社関係者)
当初は同社が協力要請したFBIが没収し、国際組織犯罪防止条約に基づいて日本に移譲され、170億円より増えた分は国庫に入るとも伝えられていた。
だが、結果的にはソニー生命に220億円が入ることになったようだ。税制関係者は「本来は収入となり、法人税の納税などの義務が発生します」と話しているが、同社はこんな使い方を考えているとして、こう発表した。
「犯罪防止、犯罪被害者救済、人道支援、その他社会公益に資することを目的として、寄付を行うことについて検討してまいります」
これで株主や保険契約者、世論の反発はなさそうだが、そもそも一社員が170億円ものカネを不正に動かせる社内の体制は徹底した改善が必要だろう。
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