中国・新疆ウイグル自治区での大量虐殺(ジェノサイド)、人権侵害などを理由とした北京冬季五輪・パラリンピックへの外交ボイコットを表明した米英、オーストラリアは、今年創設された安全保障協力枠組み「AUKUS(オーカス)」の構成国。同ボイコットにはカナダも加わり、「AUKUSプラス1」の形となっている。

 AUKUSは拡張する中国の軍事力を念頭に置いた協力体制と言われ、とりわけ米国とオーストラリアは経済なども含めて対中関係で緊張感が漂う。カナダも先日まで、通信機器大手ファーウェイ副会長の身柄拘束問題で米中対立に巻き込まれていた経緯がある。

 カナダの外交ボイコットについて「AUKUSに追随した」との海外メディア報道もあり、スポーツの祭典でも「対中包囲網」が敷かれかねない情勢だ。対中〝同盟〟といえば、AUKUSより先に形成された「QUAD(クアッド)」の4か国体制にも米、オーストラリアが参加しており、残る日本とインドの対応次第では、AUKUSとQUADによる〝外交ボイコット連合〟が生じる可能性も出てきた。

 元自衛官で自民党外交部会長の佐藤正久参院議員は、ツイッターで「日本の態度表明はいつか? 対抗策を見定めてからの後出しジャンケン的なやり方は、狡いと見られる」と政府の態度表明を促す。岸田文雄首相は国益を考えるとして、慎重に決める構えだ。

 QUADの4か国は、2日の国連総会で北京オリパラ開催国の中国が提出し採択された、両大会に合わせた休戦決議案の共同提案国に加わらなかった。中国の人権状況を懸念したとみられる。休戦決議はオリパラに伴う慣例で、日本も東京大会にあたって提出した決議案が2019年に採択されている。

 安倍晋三元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」に向けて協力するとの趣旨で生まれたQUADが、五輪休戦採択への不参加でも足並みを揃えた。その2か国が外交ボイコットに踏み込んだだけに、なおさら岸田首相の決断への注目度が高まる。

 ちなみに、同ボイコット表明の4か国は機密情報を共有する「ファイブ・アイズ」の構成国でもある(他はニュージーランド)。