11月開幕のカタールW杯に臨む森保ジャパンで〝劇薬候補〟の登用はあるのか――。日本代表はW杯メンバー発表前の実戦が9月の欧州遠征を残すのみとなっている。いよいよチームは仕上げの段階に入る中、実力は折り紙付きながら紆余曲折あってなかなか招集が実現していない選手たちがいる。いずれも待望論が多いだけに、活躍次第でサプライズがあるかもしれない。

 森保ジャパンは6月の4試合でベストメンバーを編成して強化を図った。国内組で臨んだ7月の東アジアE―1選手権ではインパクトある活躍をした選手はほぼおらず、元日本代表FW武田修宏氏(本紙評論家)も「森保監督の中では、もうW杯のメンバーは決まっている」と分析するなど6月のメンバーが基本線となることは間違いない。

 それでも、今回のW杯では登録枠がこれまでより3人多い26人に拡大されたこともあり、森保監督はメンバー発表直前まで新戦力を模索する構え。そんな中で注目されるのが、実力や実績は十分ながら現在の代表チームに加えたら波紋を呼ぶことが必至の〝劇薬〟とみられる選手たちだ。

 まずは最近、何かと話題を呼んでいるMF邦本宜裕(24=カサピア)だ。福岡を規律違反で契約解除後に韓国強豪の全北現代で活躍していたが、7月に飲酒運転でクビに。しかし、ポルトガル1部カサピアへの移籍が決まり、7日には先発出場して現地では高い評価を得た。もともとその才能は有名で、元日本代表DF内田篤人氏もDAZNの番組で「おれ好きなんだよね。ACL(アジアチャンピオンズリーグ)で対戦して、鹿島であの選手獲ろうって何回も言った」と絶賛するほど。その試合を視察した森保監督も「特長を見せてもらった」と邦本を評している。

 また、待望論が根強いのがFW鈴木優磨(26=鹿島)だ。今季Jリーグに復帰すると、ここまで7ゴールを量産。しかし我の強い性格が賛否両論あり、招集には至っていない。それでも森保監督は以前から「最後の得点を奪う、絡む特別なプレーができる」と評価しており、ストライカー不足の打開策になり得る。

 現体制で当初はエースだったMF中島翔哉(27=ポルト)は所属クラブで首脳陣との対立や家庭の問題でトラブル続き。負傷も重なり代表からは遠ざかっている。それでも代表スタッフはチェックを続けており、最後のアピール次第でサプライズ候補に浮上しそうだ。

 ベテラン組ではMF乾貴士(34=清水)への期待も高まる。今季はC大阪で規律違反があり大騒動となった後に契約解除。だが、J2岡山での練習参加を経て清水に加入するとピッチ内外で存在感を発揮している。ロシアW杯での活躍や代表メンバーとの関係性を考えれば、大舞台でラストピースになっても不思議はない。

 そうした期待はMF香川真司(33=シントトロイデン)も同様。ロシアW杯後は浪人生活を経験し、負傷を繰り返すなど窮地に陥りながらも今季は開幕から3試合連続スタメンと絶好調。本人も「今年はW杯イヤー。その思いは非常に強い」とW杯切符を諦めていない。

 いずれも森保ジャパンにとっては強力な武器となり得るだけに、リスク覚悟で抜てきがあるのか注目だ。