おいしく進化中! インスタント麺ガイド

 この春は注目の新商品がめじろ押し!のインスタント麺業界。テレビなどでも活躍する愛好家の大山即席斎氏にバッチリ解説してもらおう。アレンジ術も要注目!

 東洋水産「マルちゃんZUBAAAN!」
 東洋水産「マルちゃんZUBAAAN!」
東洋水産「マルちゃんZUBAAAN!」

 今月初めからすごく目立つインスタント袋麺のCMが始まった。ご存じ米倉涼子を起用した「マルちゃんZUBAAAN!」。起用されたタレントのランクを見るだけでも東洋水産が社運をかけた商品であることがわかる。
 ところで、ある特定の分野にこだわった生き方をしているとふとしたことで幸運が舞い込むことがある。実は今回、この新商品発表会のステージゲストとしてインスタント麺馬鹿一代のこの私が選ばれ、米倉さんと一緒にラーメンを食べるという栄誉を賜ったのだ。

 銀座のホール。集まったマスコミは密にならない限度いっぱいで、座席の背後にはカメラの放列が並ぶ…これが米倉涼子の実力なのか。小心者なので、この時点で引き受けたことを後悔した。
 しかし本番前に米倉さんと一緒に打ち合わせをして考えが変わった。彼女はこちらにも疑問点をズバズバ質問してきた。その姿はドクターXの大門未知子そのもので実に小気味よく話してくれて、こちらの緊張もほぐれた。こうして本番では米倉さんと並んで新商品をいただき無事本番を終えることができた。

 では、肝心のラーメンの味を。3種類同時発売だが、文字数の都合もあるので背脂濃厚醤油についてリポートしよう。

 粉末スープと脂たっぷりの液体スープで作る色の濃いつゆは粒々入り背脂が濃厚で、丼から背脂の香りが強く漂ってくる。また醤油の風味や辛みが強めで食べ応えがデカイ。ゆるやかにちぢれた細身の麺は、コシ感がありつつモチモチしたかみ応えがある。

 同社の先輩商品であるマルちゃん正麺とは性格を変えてあり、若い男子が好みそうな濃厚こってり系だ。主婦の皆さんには濃厚なるがゆえに野菜を山ほど入れて食べることをオススメする。ちょうどよい濃さになるのでご家庭向けの味になる。

 日清「日清の最強どん兵衛 きつねうどん」
 日清「日清の最強どん兵衛 きつねうどん」
日清「日清の最強どん兵衛 きつねうどん」

 どん兵衛のCM、少し前に吉岡里帆に似た初代どんぎつねは獣の姿に戻り、雪の中に消えてしまった。しかし新商品の最強どん兵衛を食べるとなんと!現れたのは美輪明宏に似た最強どんぎつね。う~ん、運気が上がりそうではある。おっさんとしては初代どんぎつねちゃんが出てきてほしいのだが、大事なのはCMよりも商品の内容だ。

 今回の商品は麺・つゆ・具それぞれが気合の入ったつくりとなっている。

 6種の合わせだし入り粉末スープで作る色淡めのつゆは魚粉や昆布だしの旨みがメインで、おだやかでまろやかな西日本風な味だ。幅約7ミリ×厚さ約2ミリもある長方形断面であまりちぢれていない幅広平打ち麺は、出来たてではしっかりとしたかみ応えのモチモチ食感。時間がたつとフワフワ感も出てくる。

 お揚げはお湯かけ後のサイズが約100ミリ×75ミリ×14ミリほどになる。通常のものより厚みがあるので甘さ控えめな味をしっかりと堪能できる。長野八幡屋礒五郎特製ゆず七味唐辛子の小袋がついており、ゆずの風味がかなり強くて通常のどん兵衛との違いが際立つ。

 日清「0秒チキンラーメン」
 日清「0秒チキンラーメン」
日清「0秒チキンラーメン」

 チキンラーメンのスナック菓子的新商品が出た。そのままポリポリかじる用のチキンラーメン。麺の外観は通常のチキンラーメンとほぼ同じで、たまごポケットのくぼみも。

 よく見ると色がちょっとだけ薄い。そして味は明らかに薄い。通常のチキンラーメンをそのままポリポリ食べるのを多くの人がやったことがあると思うが、ひと口ふた口程度ならいいけど、食べ続けると辛みで舌がヒリヒリしてきたものだ。しかしこちらは塩辛さ控えめなので全部いける。塩分少なめなのもありがたい。食塩相当量は通常チキンラーメンが5・6グラムなのに対してこちらは半分以下の2・2グラム。

 麺の硬さも多少ソフトになっているように思う。通常チキンラーメンはかじると麺の先端が口の内側に刺さって痛い思いをすることがあったが、これではそうならなかった。

 緊急避難袋にチキンラーメンを入れるのはひとつの定番となっているが、水ナシで食べられるこちらもオススメだ。

【今月のアレンジ術】
 カップヌードルの7分
カップヌードルの7分

 0秒チキンラーメンでも言及したが、インスタント麺は災害時の避難袋に入れる食品として重宝されているのだが、実際に避難した際に困るのがお湯の調達である。

 警視庁警備部災害対策課のツイッターで示された「災害時に湯が沸かせない状況でカップ麺を水で作る方法」が以前大いに話題となった。世間では水で戻したラーメンも「結構食べられる」という評価のようだが、自分の予想では「我慢すればなんとか食べられる」程度なんじゃないかって気もする。なので実際に作って食べてみた。


 ◆日清食品「カップヌードル」

 水を入れて3分では麺が全くほぐれていないので、箸が麺に突き刺さらない。7分たつとなんとか箸で麺を持ち上げることができるようになったが、麺の食感はゴワゴワで食べるにはまだ早い。10分経過すると多少の硬さはあるものの普通に食べられる程度の麺となった。

 スープを飲んだ印象は普通に作って少し時間がたった後のカップヌードル。かやくの卵・謎肉・えびも特に違和感なく食べられた。

 ◆まるか食品「ペヤングソースやきそば」

 水を入れて3分では麺が全くほぐれない。5分、7分でもまだほぐれず。10分たつと箸で麺を持ち上げることができるようになって食べられる麺となった。

 水切りをして食べてみると麺がべとつかずサクッとした軽い食感に。これはこれでうまい。モッチリした麺がお好みなら、あと数分水切りを遅らせると良さそう。全体の出来は、黙って出されたら水で作ったとは思わないほどのレベル。

 以上、2品とも「お湯がないから仕方なく食べるもの」というものではなく、暑い時季だったら冷製ヌードルとして普通に作ってみても良さそうだと思えた。

 ☆おおやま・そくせきさい インスタント麺愛好家。カップ麺、袋麺、ラーメン、焼そば、うどん、そば、まぜそばから海外製品まで、年間600食の即席麺を食べる。1995年、「TVチャンピオン インスタント麺通選手権」優勝。「マツコの知らない世界」出演。ツイッターは【@Sokusekisai】。