〝黄金階級〟に渦巻く光と影――。世界バンタム級3団体統一王者・井上尚弥(29=大橋)が世界中から脚光を浴びる中、東洋太平洋同級王者の栗原慶太(29=一力)が人知れぬ胸中を本紙に打ち明けた。
規格外の強さを誇る井上に対し、多くの現役ボクサーは舌を巻く。栗原も「もう手の届かない遠くに行ってしまった。すごく複雑な気持ちです」と語る。井上の活躍により、バンタム級のベルトの価値は高騰。「バンタム級王者になるより、尚弥選手に挑戦する方が価値がある」とさえ言う栗原は、かねて世界戴冠後にモンスターに挑戦する夢を抱いてきた。
だが、井上は年内に4団体統一を達成した後は返上し、階級を上げて新たなステージに向かう予定。栗原は「価値が上がったベルトが欲しかった。正直、尚弥選手がいなくなった後にベルトを手にしても全く価値が違う。それに、尚弥選手が去った時を狙ったと思われるのもシャクですし…」と本音を吐露した。
一方で、ささやかな希望もある。無敗の47連勝でボクシング界へ転向する〝キック界の神童〟那須川天心(23)の存在だ。「自分が戦ったらどうなるか?という好奇心をかき立ててくれる。知名度があるので僕自身は名前を売るチャンス。今からワクワクします」
那須川はバンタム級かスーパーバンタム級と言われるだけに、「尚弥選手がバンタム級の価値を上げたように、那須川選手が来て盛り上がれば王者としての自分の価値も上がる。もし自分に挑戦してくれるなら、逃げることなく戦いたい」と目を輝かせた。
喪失感と高揚感――。2人の「雄」による栗原の心のザワつきは、今後の日本ボクシング界の激震と隆盛を暗示しているのかもしれない。












