タレントの麻木久仁子(56)が13日にかけてツイッターを更新し、アフリカゾウの密猟に猛反対した。

 11日に「とてもショッキングな画像であることご了承ください。こんな現実があるとは」とつぶやき、アフリカゾウの密猟に関する話題を取り上げた。

 以後、密猟に関するツイートは記事のリツイート(拡散)などを含め「12」にも上る。

 麻木が紹介した「ショッキングな画像」とは、ゾウが密猟者によって顔面をそぎ落とされて殺されているもの。耳から先の部分がきれいになくなり、おびただしい血の池でばったりと倒れている。思わず、目をそむけたくなる画像だ。

 アフリカゾウの密猟をめぐっては、象牙を奪うためのその残虐な殺害方法も大きな批判を浴びる要因になっている。

 イスラム過激派のテロリストから資金援助を受けたり、アフリカで貿易や商業を営む金満中国人に雇われた密猟者は主に満月の夜に国立公園やその周囲に侵入。ゾウを見つけると、銃や毒矢で動きを止めて倒す。

 それだけでも極悪非道だが、その後はさらに無慈悲だ。ゾウは死後硬直してしまうと、象牙が取り出しにくくなる。そのため、まだ息のあるうちにチェーンソーで頭蓋骨ごと顔面をえぐり取ってしまうのだ。

 同じく角が狙われるサイも同様の被害を受けているが、角をそぎ落され、複数の弾丸を体に受けても奇跡的に生き延びるケースもあるが、ゾウはそうはいかない。

 密猟者は猛烈な返り血を浴びながら、長い鼻をカットし、レンジャーが駆けつける前に切り取ったゾウの顔と象牙を持って逃走する。

 このような鬼畜的な殺戮は武器の近代化とともにアフリカ諸国のいたるところで行われ、大きなキバを持つ単独行動のオスゾウは激減。さらに母系集団で形成されるファミリーも標的にされている。

 ファミリーは移動の際、通常「メトリアーチ」と呼ばれる最も年齢の高いメスゾウが先頭を歩き、すぐあとに子ゾウ、そしてその母親や血縁関係のある姉妹が続く。オスゾウも若い時は集団に入っている。

 メトリアーチはどんな状況でも動じず、攻撃力も高い。窮地には仲間を助けたり、乾季にはこれまでの経験から知り得た隠れた水場に群れを誘導する役割も担う。「長老」のような存在だ。

 密猟者の狙いも当然、キバの大きいメトリアーチだが、最初から撃つことはない。まず子ゾウを負傷させ、群れの動きを止める。他のゾウが子ゾウを守ろうと、円になったところで皆殺しにするのだ。子ゾウは万一助かっても心に大きな傷を負い、単独ではサバンナで生きていけなくなる。

 そして、ここまでして闇ハンターが象牙を欲しい理由は日本にも責任の一端がある。

 日本はハンコ文化の保護のため、象牙の国内市場を閉鎖していない。国際取引は禁じているものの、法の抜け道は多い。日本で買った象牙アクセサリーをお土産として持ち出す外国人旅行者もあとを絶たない。日本が密猟への関与をいくら否定しても、市場を閉鎖していない国がまだあることが批判を招き、国際社会が一丸になりきれない大きな要因となっている。

 象牙の最大の消費国の中国はすでに市場を閉鎖し、ワシントン条約締約国会議でも密猟を阻止する側へとカジを切った。それでも現実には中国系密猟者が暗躍している現状はあるが、市場の閉鎖すら拒む日本はアフリカ諸国から厳しい視線を向けられている。

 アフリカの一部の部族はゾウの肉を食べる文化がある。豚や魚も人間の口に入ることで、その役割を果たす。しかし、密猟者に象牙を奪われたゾウは、無残に殺されて放置されるだけだ。

 その象徴となる、あまりにも凄惨な画像を投稿した麻木は「知れば多くの心ある日本の人々は、象牙の売買禁止に賛成するのではないでしょうか」と続け、日本に象牙に関する取引の方向転換を強く訴えた。