フジテレビが今春に実施した大型改編の“目玉の一つ”として4月に始まった音楽番組「水曜歌謡祭」(水曜午後7時57分)が、秋の改編で深夜枠に移されることが11日にわかった。視聴率の低迷が最大の要因だが、同番組が時間帯を移動することにより、局内部にある変化が起こるという。一時は影響力が弱まったと言われた“SMAP育ての親”でジャニーズ事務所の敏腕マネジャー・I女史が「フジ内部への影響力を取り戻しそうだ」とささやかれている。いったいどういうことなのか?

「水曜歌謡祭」は、お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建(42)と歌手・森高千里(46)を司会に抜てきして4月にスタートしたが、初回から7・3%と1桁台に低迷。6月3日の放送では何と、3・8%という屈辱的な数字を記録した。その後もそれほど上向くことはなく、低迷が続いている。

 それでも当初は「秋以降もこのまま同じ枠で続いていく」とみられた。30代のフジテレビ男性社員は「『水曜歌謡祭』は亀山千広社長の肝いりで始まったから、簡単には終わらせられない。いくら数字が低くても、最低1年は続けると思われていた」と明かす。ところがここにきて、事情が変わってきたという。

「とにかく春から始まった新番組のほとんどが低迷している。このままではスポンサーも黙ってないし、秋の改編で多くの番組が打ち切りか、大幅なテコ入れをされるのは確実。社長の肝いりだからって『水曜歌謡祭』だけ特別扱いするわけにはいかなくなった」(同)

 そこで秋の改編を機に「水曜歌謡祭」をゴールデンから撤退させるプランが進行しているのだ。

「まあ社長の肝いりなので、打ち切りだけは免れた格好。今のところ、金曜の午後11時台に移行するプランが濃厚。司会は2人とも続けるみたいだけど、金曜に移るとなるとタイトルは『水曜歌謡祭』から変えざるを得ないでしょう」(同)

 ただ「水曜歌謡祭」の失敗は、さまざまな方面に影響が出そうだとみられる。

 20代の男性若手社員は「まず毎年恒例となっている12月の『FNS歌謡祭』をどうするのかということが、社内では話題の的です」と明かす。

 フジテレビでは1年に2回、4時間以上の枠をとる超大型音楽番組を放送している。それが夏の「FNSうたの夏祭り」と、暮れの「FNS歌謡祭」だが、実は「水曜歌謡祭」は、この2番組のスタッフがごっそり制作陣に参入して始まった経緯がある。

「これは恒例の歌番組である『うたの夏祭り』と『FNS歌謡祭』の司会を“今後は渡部、森高でやっていこう”という意図があったんです」

 つまり「水曜歌謡祭」を始めた背景から、フジの“SMAP外し”の意思が垣間見えるというのだ。

「ここ数年、『うたの夏祭り』と『FNS歌謡祭』の司会はSMAPの草なぎ剛が務めていて、視聴率も良かったんです。でも“SMAP育ての親”と言われるI女史と春の改編の責任者だった編成部長の折り合いが悪かった。そこで“SMAP外し”に出て、『水曜歌謡祭』が始まったんです」(同)

 こうして今年の「うたの夏まつり」は、司会が草なぎから渡部と森高に変更となり7月29日に放送されたが、結果は無残だった。第1部が10・7%、第2部が13・3%という同番組史上最低の数字を記録した。

「当初は暮れの『FNS歌謡祭』の司会は渡部、森高が既定路線だった。でも『うたの夏まつり』が惨敗に終わったから、『草なぎに戻すべき』との声も出てきているようだ」(芸能プロ関係者)

 本紙でも既報したが夏の人事異動で、編成部長がバラエティ制作センター室長に異動となった。「後任の編成部長はI女史との折り合いも悪くないから、司会を草なぎに戻す可能性は十分にありそう」と同関係者は言う。

「水曜歌謡祭」が深夜に移動するのは、フジにおける“I女史復権”の前兆となるかもしれない。

(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ社調べ)