【“転落”対談(前編)】“秒速で1億円を稼ぐ男”といわれた実業家の与沢翼氏(31)と、“居酒屋革命”で一世を風靡した天野雅博氏(46)による“転落”対談が実現した。ネオヒルズ族を自称した与沢氏は、経営する「フリーエージェントスタイルホールディングス」の業績が悪化、「資金が完全にショートした」とブログで告白。天野氏は2010年に、「焼酎無料」をうたう衝撃的な「居酒屋革命」チェーンを展開。「5年で300店舗」とぶち上げた。翌年、事業を縮小したが1年間で20店舗まで展開。時代の寵児だった2人が何を語るのか。

 与沢:東スポさんの報道で、僕のセミナーにサクラを呼んでいたなんて書かれていましたが、そんなことは死んでもないですね。与沢塾も680人。与沢翼の名前でやるものについては空いている会場を探すのがいつも大変な状況でしたから。

 天野:マスコミのバッシングは僕も受けました。でも叩かれてもライバルがいないビジネスモデルがあれば復活できるんです。この世の中には僕は良い人と悪い人しかいないと思っています。与沢さん、あなたは良い人ですか? それとも?

 与沢:悪い人なんじゃないですか?

 天野:悪い人ではないと僕は思いますよ。本当に悪い人なら僕はもう二度と会わない。若いころ、暴走族1000人率いて信号無視をして不良少年の烙印を押されました。信号無視は誰かがそこに信号をつけていただけです。世の中の物差しで勝手に裁くな!

 与沢:面白い方ですね。僕も10代のころは非行少年。暴走族の友達のバイクの後ろに乗り集会に参加して逮捕されました。

 天野:ロールス・ロイス・ファントム、フェラーリ、ハリーウィンストン…僕を追いかけるように買っているみたいな話を聞いたことはあるけど(笑い)。与沢さんが若者に夢を持たせた実績は素晴らしい。そんな与沢さんが、「演じる成功者は疲れた。素の俺を見てほしい。埼玉の実家に帰る」とか、カッコ悪いこと言っちゃだめだよ。税金払えばいいじゃない! 与沢さんという人はつるはしとスコップを持って、水を引いた人なの。そこから水を引きなさいと言われて会員はバケツを持ってきただけ。お金が流れる仕組みを若い世代に気付かせたあなたを潰したくない。

 与沢:ありがとうございます。でも、相談した先輩の大半から「一度沈め」と言われています。支援してくださる皆さんの意見をうかがって慎重に考えたいと思っています。

 天野:そんな先輩には「バカ」って言ってやれ! そんな先輩の方が破綻するよ。ライバルがいないビジネスプランをあなたは展開していたのだから。ただ、与沢さんの塾に参加した人も失敗者が多いのはキャッシュポジションが分からなかったのかもしれませんね。

 与沢:最後の方の与沢塾は29万8000円。100万円の高額コースは2012年の夏に売って終わりにしています。報道では100万~300万円となっていましたが、実際は10万~30万円くらいの間です。ただ、知名度が上がっても値段をあまり下げなかったのが良くなかったと先輩から指摘されました。EXILEを先輩が例に出していました。「高い知名度と多くのファンがいる彼らが300万円でツアーをするということになったら100億とか集めるのも簡単だろう。でも なぜ彼らがそれをやらないか分かるか? 300万円でたくさんの顧客の満足度を取ることができないから、顧客の不満の書き込みが始まったり批判が始まったりする。だから9800円のチケットをずっと売り続けて、全国を脚で回って稼ぐんだよ」と先輩から言われました。知名度の向上に反比例して値段を下げていかなければならなかったんです。でも、効率よく売り上げるために単価を維持していたのです。

 天野:モノの需要はXの法則というのがあってさ。モノを買ってくれる人が少ないから単価が高いが、使ってくれる人が増えるとモノがどんどん安くなっていくんだね。

 与沢:与沢塾レベルに自分でこだわったものを月3000円とか考えています。

 天野:俺は100円で考えている。月額100円を70万人の会員から集めたら2か月で税金払えるでしょ。

☆よざわ・つばさ=1982年11月11日生まれ。埼玉県出身。早大社会科学部卒。衣料品のネット通販会社を起業後、2012年に人材育成などを行う「フリーエージェントスタイル」社を創設。現在は同ホールディングス代表取締役会長。新世代の若手起業家「ネオヒルズ族」の1人として脚光を浴びる。「秒速で1億円稼ぐ条件」の著書がある。

☆あまの・まさひろ=1967年10月8日生まれ。北海道出身。作家・起業仕掛け人。リサイクルブティックや酸素バーなどを手がけ、2009年末に「居酒屋革命」を東京・板橋区にオープンさせ、店舗を広げる。「大胆な売り方・店名」で注目され、メディアへの登場も多い。著書に「貧乏は完治する病気」などがある。