人気歌手のGACKT(45)と野田聖子総務相(57)が揃って“アウト”となりそうだ。今年1月、GACKTが広告塔を務める仮想通貨「スピンドル」をめぐり、野田氏の秘書が、金融庁に圧力をかけていた疑惑が浮上。しかも野田氏の夫の文信氏(51)が暗躍していたというから、ただ事ではない。一方のGACKTは「俺も被害者」と主張しているというが、スピンドルはこの間、大暴落。GACKTら“胴元”だけがうまいこと売り抜け、ボロ儲けした疑いが浮上している。「芸能界格付け王」に君臨するGACKTだが、いよいよテレビ局も距離を置き始めている。 

 初の女性総理を目指していた野田総務相の夢が事実上、閉ざされた。その原因が自らの夫とGACKTだという。

 野田氏は今年1月下旬、金融庁の調査を受けていた仮想通貨業者B社の関係者を事務所に同席させた上で、金融庁の担当者を呼びつけ、説明を求めた。

 B社は昨年10月からGACKTを広告塔にして、独自の仮想通貨「スピンドル」の販売を開始。ところが、今年1月中旬に無登録営業が資金決済法違反の疑いがあるとして、金融庁から通告を受け、書面での回答を求められた。この通告後、野田氏の秘書はB社の関係者を伴い、金融庁に説明させたという。

 金融庁側に立てば、違反が疑われる業者の隣に大臣秘書が同席しているのだから「通告を撤回しなさい」という無言の圧力を感じ取ったとしても不思議ではない。

 野田氏は19日、事実関係を認めた上で「金融庁の調査への圧力には当たらないと考えている」とコメント。しかしその後の取材で、スピンドルに野田氏の夫で元暴力団員と報じられた文信氏の関与疑惑が浮上。夫から「何とかしてくれよ」と頼まれ、妻が動いたのならば大問題だが…。

「ともかく、今回の醜聞は野田氏にとって致命的。9月の自民党総裁選出馬が取り沙汰されていたが、それもこの状況では無理だろう」とは永田町関係者。

 もう一人の主役はGACKTだ。過去、自宅を国税庁にガサ入れされたり、事務所の側近男性が逮捕されたり、巨額投資詐欺にまんまと引っ掛かったり、キナくさいカネの話になると、たびたびその名が登場するが、今回も例外ではない。

 仮想通貨スピンドルは通称「GACKTコイン」と呼ばれ、GACKTは立ち上げに関わったコアメンバーの一人。熱心な“営業”のかいもあって、220億円程度の出資金を集めることに成功したという。

 上場前のプライベートセール時のレートは1スピンドル(SPD)=30円弱。これが倍になれば出資者もホクホクなのだが…。

 5月19日に国外の取引所5つで上場したスピンドルは、ナイアガラ級の大暴落。いきなり1SPD=3円弱と、価値が10分の1に。その後も下がり続け、7月25日現在の価格は1SPD=0・7円程度と、目も当てられない惨状だ。

 一方で、GACKTは上場直後に数千万円分のスピンドルをうまく売り抜けたという情報も…。

 当人は周囲に「(広告塔としての)ギャラはスピンドルでもらっているから、俺も大損した被害者だ」と吹聴しているというが、事情を知る関係者は「彼は“胴元”の一味なのだから、損するはずがない」と断言する。

 しかもGACKTは、知り合いの芸能関係者らにも投資を呼びかけていたそうで、大損をした者から怒りの声が上がるのは時間の問題と言われている。「仮想通貨の胴元側に立ち、荒稼ぎしているといわれる“半グレ集団”とも近いGACKTは、金融庁から完全に目をつけられましたね。今回ばかりは相当ヤバイですよ。これ以外にも金銭スキャンダルがあるみたいですしね」(事情通)

 仮想通貨に詳しいITジャーナリストの井上トシユキ氏は「無名の仮想通貨では詐欺まがいの手口が横行しています。金融庁はそれらを取り締まるルールづくりを急ピッチで進めています。ハメられて大損させられた被害者が集団訴訟するケースも今後出てくると思います」と話す。

 GACKTといえば、テレビ朝日系の人気番組「芸能人格付けチェック」など、バラエティー番組にも積極的に進出しているが、テレビ関係者によると「さすがに今回のスキャンダルの落としどころが見えるまでは、各局、GACKTの起用は慎重にならざるを得ないだろう」と言う。

 野田氏もGACKTもしばらくは表舞台から消えてしまいそうだ。

【野田氏は党重要ポストも厳しく】自民党総裁選へ意欲を見せていた野田氏はこの問題でピンチに立たされた。

 朝日新聞が19日に報じた野田氏側の「金融庁への圧力疑惑」に始まる。同紙が、野田事務所でのやりとりについて情報公開請求をしたことが、開示決定前に金融庁職員から総務省職員、さらには野田氏側へ情報が漏れていた。

 菅義偉官房長官は25日、金融庁が同庁職員の処分を検討するとの見通しを示したが、野党側は野田氏にも「言語道断の行為だ。閣僚として失格だ」と厳しく批判し、関係省庁を呼んで公開ヒアリングを行った。

 終了後、立憲民主党関係者は「与党側にこの問題に関する閉会中審査を求める。野田氏や政府の責任を追及していく方針」と語った。

 日本初の女性総理大臣を目指す野田氏の総裁選断念にもつながりかねない。出馬するとしても必要な推薦人(20人)の確保に影響しそうだ。

「無派閥議員の間では今回の問題で『野田氏でなく、石破茂氏を推す』との声が出ている」(党関係者)

 総裁選後の閣僚、党5役人事でも「今回の問題で重要ポストに就くのは非常に難しくなったのでは」(自民党国会議員)とみられている。