完結から1週間を迎えるTBS系ドラマ「Tシャツが乾くまで」。物語の中心線をなすエピソード「失踪」の当事者である充(松山ケンイチ)には「寅さん」を連想する視聴者も少なくない。それを思わせるようなシーンが11日の最終回で繰り広げられた。
約1年に及んだ失踪を経て戻って来た充との生活を再開させた咲子(蒼井優)は、苦悩の末に離婚を決断する。不承不承受け入れた充は夫婦最後の日、2人で洗濯できるものはすべて洗って庭に干し、乾いた後に出て行った。その後、咲子宅への再訪をにおわせて幕切れとなった。
Xでは、「瀬尾充って実は『寅さん』だったのか」「充は令和版 男はつらいよフーテンの寅さんにしか見えなくなってしまって…」「寅さんみたいな生き方しかできない人」「放浪するけど適度に帰る場所はあるフーテンの寅さんシステムにされた充」などと、故渥美清さんが演じた国民的映画「男はつらいよ」シリーズの主人公になぞらえる投稿が続いている。
充は最終回、バスに乗り合わせた独りぼっちの少年に「大丈夫。大人になると、帰る場所増えるから」と話しかけた。咲子の固い意思で本意ではない〝失踪〟となってしまったが、表情はきわめて穏やか。だた、そこに至る過程には〝未練タラタラ〟の場面があった。
乾いた洗濯物を2人で畳みながら、充は「カーテンつけるよ。さっちゃん届かないでしょ?」。すると咲子は「脚立があるから」。一人で生活できるという咲子の確信を示すこの言葉は、充にとって決定打。カーテンを持つ手を放してソファから立ち上がり、背を向けうつむいた。
立ち止まる充に、咲子は「行かないの?」。着替えや歯ブラシの話題を持ちだし、引き留めてもらいたそうな様子。咲子に「じゃあ」と言われて再び歩くも、今度は洗濯機のフィルターなどの話で立ち止まる。再び歩くも、離婚届の心配をして振り向く。話が途切れ、ドアの直前まで進んでまた止まる。「何か、あったかな…」と、止まる理由を無理に探した。
立ち上がってから部屋を出るまで約2分40秒のシーンは、後ろ髪を引かれるような充の思いを際立たせた。寅さんもまた、マドンナから身を引く際に後ろ髪を引かれるような印象を見る側に抱かせた。京成柴又駅前にある銅像は、東京・葛飾区の観光サイトで「旅に出る寅さんが、さくらの方を振り返ったシーンがモチーフ」と説明されている。後ろ髪を引かれる思いで、実家の団子店・とらやの方へ振り返っているとの見方もある。
最終回、主だった充が出て行った後の「喫茶ひこうき」に関係者一同が集まる。咲子の上司の千鶴(臼田あさ美)が「みんな充くん、好きだなぁ~」と漏らし、店を譲ってもらった直人(高橋文哉)は「クセになる要素があるんですよね」と応じ、咲子も「分かる」と同調した。
接点が見当たらない、樹生(中島歩)と事故死したあずさ(夏帆)の幼い子である翔にも「おじさん」と親しまれていた充。愛されキャラはやはり、令和版「寅さん」なのか…。











