人間描写が深まるTBS系ドラマ「Tシャツが乾くまで」。21日の第7話で強い印象を与えたのが回想シーンで初登場した菜葉菜だった。主人公の咲子(蒼井優)にとって、失踪1年後に帰宅した夫・充(松山ケンイチ)の母親で義母にあたる。菜葉菜は子に冷たい母の苛烈さを、ほとんどセリフなしで演じた。
7話では充の口から、自身の生い立ちや失踪の経緯および同行後に事故死した主婦のあずさ(夏帆)との関係などが語られた。両親はもともと子供を望まず、生後も無関心。虐待はなく「ただ愛されないだけ」と充は振り返る。
この母親が計約1分間の回想場面で発したセリフは、すれ違う通行人への「こんにちは」だけ。充に対しては冷たい鉄仮面を貫いた。菜葉菜はXで「演じていてもずっと胸が痛かったです」と明かし、「冷酷な表情が素晴らしかった」「見事に演じきっていて心えぐられました」などと感動リプライが寄せられた。
菜葉菜は今年公開された映画「金子文子 何が私をこうさせたか」で主人公の金子を演じた。金子は、皇太子暗殺を謀ったとして大逆罪犯に仕立て上げられた関東大震災直後の朴烈事件(1923年)で、朴とともに無期懲役とされた後、刑務所内で自死した女性。菜葉菜は2021年のNHK夜ドラ「つまらない住宅地のすべての家」では主要キャストの逃亡脱獄囚役も務めた。「インディーズ映画の女王」という異名も。
そんな演者による「T乾」の冷酷な母。充が自分に関心を示さない親のもとになぜ1年もいたのかは語られていない。残されたスマホにあった、住人不明の住所を咲子が訪れると、応対した人は充もあずさも知らないと答え、咲子は捜索を諦めた経緯がある。
この訪問で謎が浮上する。充は6話で、咲子に応対したのは母親だったと明かしている。ただ、瀬尾咲子と名乗る人が来たら、充やあずさのことを聞かれても何も知らないと答えるように言い含めたという。鉄面皮のような人間が、時を経たとはいえ他人のような息子の要求にやすやすと従うものなのか?
さらに、無関係を装ったとしても、肉親であれば、顔立ちに少しは似た部分があっても不思議でない。思慮深い咲子ならピンときてもよさそうだが…。
親子関係は語り尽くされるのか。












