7月に本デビューを果たした129期、130期生のルーキーを紹介する「Challenge! 新人競輪選手紹介」。今回は消防士になる夢を、競輪選手への道へと切り替えた高橋聖太(しょうた、25=愛媛)に話を聞いた。

「体を鍛えて、自転車に乗って、そんなにもらえるの⁉」

 佐藤慎太郎の密着動画を見たことが高橋の生き方を大きく変えた。幼少期からバスケットボールに打ち込み、特待生として福岡経済大学へ進学。消防士を目指し、趣味でもあったウエートトレーニングに励んでいたが、ユーチューブで偶然目にした佐藤の動画が転機となった。

 通算獲得賞金が数億円に及ぶことを知り「自分も挑戦したい」と心に決めた。とはいえ、自転車競技経験はゼロ。愛好会で初めて乗ったワットバイクでは、たまたま居合わせた佐々木豪の数値に衝撃を受け「強い人に教わりたい」と、そのまま佐々木に弟子入りした。

 しかし、道のりは険しく競輪選手養成所の試験は3度目でようやく合格。2度目は練習では好タイムを記録し、周囲からも「受かる」と期待されながら、本番では実力を発揮できなかった。一度は諦め、自転車から離れた時期もあったが「もったいない」という周囲の言葉に背中を押され最後の挑戦で合格した。

 養成所では時間厳守や協調性の大切さを学んだ。思ったことをそのまま口にしてしまう性格から、デリカシーのなさを指摘されることもあったが、それも自身を見つめ直すきっかけになった。

 競輪とはラインでの戦い。人と人がからむもので、たとえ悪意はなくともいらぬことを口にしては誤解を招きかねない。

 一方で、自転車経験者との差は大きくタイムも実技も伸び悩み在所中は1勝も挙げられなかった。それでも「地元に戻れば練習環境がいい。積み重ねれば戦える」という手応えだけは胸にあった。

 本デビューの久留米では1着を取れなかったものの、続く武雄で待望の初勝利を挙げると、しかも連勝を飾り決勝進出を果たした。ただ、決勝は同期で地元の西原裕太郎を相手に力負け。「帰ってから師匠に『残り1周は後ろを見ずに駆けろ』と言われました」とライン戦の難しさを痛感し「見るのとやるのは全然違う。実戦で覚えるのが一番」と、新人らしく課題をひとつずつ吸収している最中だ。

 目標は焦らずに目の前の1着を積み重ねること。「先のことを考えすぎるとダメな性格なので一戦一戦を大切に走りたい」。いずれはS級へ上がり、GⅠの舞台へ――。

 きっかけとなった、佐藤慎太郎と特別戦線で顔を合わせる日を夢見ながら、今日も力強くもがき続ける。

☆たかはし・しょうた 2000年11月13日生まれ、愛媛県出身。174センチ、79キロ。師匠は佐々木豪(109期)。