【取材の裏側 現場ノート】3月5日、名古屋・栄のSKE48劇場でアイドルファン注目のイベントが行われた。アイドルグループ「SKE48」の運営会社である「株式会社ゼスト」とその親会社「株式会社KeyHolder」がファン約150人との座談会を開催。KeyHolderの大出悠史社長(43)を筆頭に運営各部門のトップ6人が約150人のファンと意見交換を行ったのである。
アイドルの運営会社がファンとひざを突き合わせて約2時間、質疑応答を行うのはなかなかないことだが、冒頭から驚きのシーンが展開された。「悪いのはすべて運営、会社です」。マネージャーと業務の範疇を超える連絡等が行われていたことでSKE48メンバーの中坂美祐(20)が1月から活動自粛となっている件について大出社長が謝罪。「次があったら会社としてグループとして終わりだという共通認識を持っています」と頭を下げたのだ。
さらに劇場内に緊張が走ったのがこの件についてファンから飛び出した次の質問だった。「今回の問題の1番のポイントは、恋愛およびそれに近い行動を取ったからなのか、業務の範疇を超えた関係と取られるような行動があったことなのか。どちらに比重を置いているのか気になります。またメンバーの恋愛がルール違反なのか、そのルールがあるのか、そもそもないのかを教えていただきたいです」
(そこまで聞く!?)いきなりの直球質問に取材していたこちらも思わずドキドキしてしまったのだが、大出社長はこの質問をフルスイングで打ち返した。
「1つ目の質問については例えばLINE、メールのやり取りで誰かが見たら怪しまれるよねという部分だけです。男女の関係があったとかは一切、誓ってございません。2点目の恋愛禁止の部分については正直、明確なルールはないです。ないですが、ファンの皆様に支えられてアイドルはあると常日頃伝えています。万一、(ファンを悲しませるようなことが)あきらかになった場合はそれ相応の処分というか、アイドルをやっている意味はないじゃないかというのが我々の方針です」
説明しておくとKeyHolderはゼストだけでなく「乃木坂46合同会社」の持ち分の50%を保有するノース・リバー、俳優の玉木宏らが所属する芸能事務所・アオイコーポレーション、他にも広告会社や制作会社などいくつものグループ企業を傘下に置く東証スタンダードの上場企業である。その企業のトップがわざわざ名古屋まで足を運び、子会社の1コンテンツであるSKE48のファンといきなり本音をぶつけ合う。
(これはただのガス抜き企画ではないな)。参加者にも運営サイドの本気度が伝わったのか時を追うごとに座談会はどんどんヒートアップしていった。
記者は劇場の1番後ろで見ていたのだが「質問のある方」と司会(2年前にSKE48を卒業した髙畑結希が務めた)が呼び掛けるたびに参加者のほぼ全員が自分の思いや意見を伝えようと一斉に挙手。「グループを盛り上げるための今後のプロジェクトについて」「シングル選抜メンバーはどうやって決められているのか?」「チームSの新公演は本当に予定通り(4月26日スタート)始まるのか?」「劇場公演の安全対策」などについて運営とファンの間で激論が交わされた。
「SKE48はチーム制を大事にしていきます」「本人がどこまで(アイドルを)やり切ったかというのが大事。メンバーには(卒業するときに)やり切ったと思ってもらいたい」。運営責任者である齊藤哲也氏(61)の言葉にファンは皆、大きくうなずき、4月からSKE48運営会社(※組織改編で株式会社SKEになる予定)の共同代表に就任する北川謙二氏(46)と大山武志氏(54)が新体制に向けた意気込みを語ると会場からは拍手が沸き起こった。
2014年にはナゴヤドーム(現バンテリンドーム)に3万3000人、15年には豊田スタジアムに4万5000人を集めて単独コンサートを開催しているSKE48だが、そのころに比べるとさすがに人気や観客動員面でパワーダウンしていることは否めない。だがこの日、記者が感じた会場の空気はAKB48ブームに沸いていたころにも負けない熱いものであった。
「こういった機会を積極的に設けていきたいと思います」。大出社長は今後もファンとの座談会を継続していくことを宣言したが、次回はSKE48のメンバーもオブザーバーとして参加した方がいいのではないか。グループやメンバーの飛躍、活躍を願い、思いを寄せてくれる人たちがこんなにもいる。それを肌で感じ取れば、アイドルという仕事にさらにヤル気と誇りを持つはずだ。













