挑戦は、まだ終わっていない――。2023年シーズン限りで現役を退いた元アビスパ福岡MFの田邉草民さん(35)は現在、福岡市中央区のコールドプレスジュースとスムージーの専門店「DEEP GREEN FUKUOKA ROPPONMATSU」を運営しながら、社会人サッカークラブ「パスチャライズ福岡」で監督も務め、店とサッカーの現場を行き来する“二刀流”で奮闘している。選手時代に培ってきた体づくりへの意識を、現在の活動の軸としている。
現役時代からコンディションには人一倍気を配ってきた。外食が続く生活の中でも、体にいいものを取り入れたいという意識は常にあり、田邉さんが通っていたのが、福岡市中央区赤坂にある「DEEP GREEN FUKUOKA」本店だった。日々の生活の中で立ち寄り、コールドプレスジュースを口にすることが習慣になっていた。
サッカーを始めたのは、保育園時代に遊びでボールを蹴ったことがきっかけだった。「遊びで楽しかったから」という感覚が原点にあり、その後、名古屋グランパスでプレーしていた“妖精・ピクシー”ことストイコビッチに憧れを抱くようになった。プロ生活は15年。アビスパ福岡ではJ2からJ1への昇格やルヴァン杯優勝を経験し、2023年シーズン限りで現役を退いた。
引退後、一度は広告代理店に身を置いたが、選手時代から積み重ねてきた「食」と「体づくり」の実感を、別の形で生かせないかという思いが強くなった。現役時代に日常的に取り入れてきたものを、今度は提供する側として形にしたい。そう考え、店づくりに踏み出し、六本松店を昨年11月にオープンさせた。
店で扱うのは日々のケアを支えるメニュー。「一度飲んで終わりではなく、続けてもらうもの」。自身が現役時代に口にしてきた経験が、その考えの軸にある。田邉さんが好んで飲んでいたのが、コールドプレスジュースの「イエロー」だ。しょうが、りんご、ターメリックなどを使ったすっきりとした味わいで、消化に負担をかけにくい点を踏まえ、無理なく続けられる1杯として勧めている。
アサイーボウルも看板メニューの一つだ。プロ選手の来店も多く、アビスパ福岡の松岡大起選手は、アーモンドカカオボウルにハマっている1人だ。現在も多くのサッカー選手が来店し、それぞれの体づくりの一環としてメニューを選んでいる。
店に立つようになり、生活は大きく変わった。仕込みから営業まで長時間に及ぶ日も多いが、空いた時間には子供と近所を散歩したり、公園で過ごしたりする。「生活のリズムは変わりましたが、今はその時間も大切にしています」。現役時代とは異なる日常の中で、家族と向き合う時間も増えている。
一方で、社会人サッカークラブ「パスチャライズ福岡」の監督として、サッカーの現場にも身を置く。昨季、監督就任1年目で福岡県リーグ優勝を果たし、九州リーグ参入戦にも挑戦した。プロとして15年間プレーしてきた経験をもとに、試合で求められる判断や役割を伝えながらチームづくりを進めている。
今後については「まずは六本松の店をしっかり軌道に乗せたい。その上で、いずれは東京にも出したい」と展望を描く。食とサッカー、二つの現場に向き合いながら、次のステージを見据えている。














