在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成される東京映画記者会は28日、選考した「第68回ブルーリボン賞」各賞を発表した。「爆弾」で怪演した佐藤二朗(56)が助演男優賞を獲得。佐藤は喜びをかみしめつつ、尊敬する先輩俳優のものまねも披露した。

 同作は、佐藤が演じる謎の中年男が都内での爆破事件を次々と予告して日本中を翻弄し、警視庁捜査一課との攻防が繰り広げられる物語。これまでコツコツとキャリアを積み重ねてきた当人が「いろんな人から毎日のように連絡があったのは初めて」と語るほど、大きな反響を呼んだ。

 自身の出演作は「お客さんと見たい派」だという。同作では「マスクして、帽子をかぶって」とある映画館へ行って観賞した。

「隣に僕と同年代の中年夫婦がいた。もちろん僕には気づいてない。奥さんが『すごい…』って言ってるわけよ」

 観客がスクリーンに引き込まれた瞬間を目の当たりにした。「最高だよね」としてやったりの表情で、それを見たら「ご飯3杯は食えるね。うれしかったな」と満面の笑みを浮かべた。

 佐藤が語る同作の見どころの一つが、取り調べを行う刑事を演じた俳優の渡部篤郎の演技だ。

「僕は渡部篤郎のファンなんで。(渡部が)いわゆる〝渡部節〟を一切封印して、本気で(作品などを)支えに来た美学とか、男の色気とか、素晴らしいと思いますよ。何回見てもカッコいいと思うもんね」

 佐藤にとって渡部は1つ年上で、尊敬する先輩俳優の一人。渡部のものまねもできる。タレントの山本高広が渡部のものまねをする際、口調を気だるい感じにして当人に寄せるが、佐藤のものまねの仕方もそれと同様で、完成度も高い。

 佐藤はこのほど渡部に会ったそう。その際、当人に言われたことを当人になり切って明かした。

「知人のプロデューサーがずいぶん二朗をほめてたよ…」「俺は言ったんだよ…。『アイツは昔からできましたよ』と…」「あなたたち(制作サイド)が(佐藤に)そういう役を与えなかっただけでしょうって…」

 照れくさそうにして「ありがたいなって思う」とほほ笑んだ。

 役者人生を歩むのは、偶然ではなく必然だった。

「小学校低学年のころから役者になる運命だって、何の根拠もないくせに思っていた。卒業文集に『将来の夢は俳優』とかも書いてないんですよ」

 書かなかった理由は「夢とかじゃない、運命だから」。

 自身の強みは「小学校の時の『運命だ』っていう思いが、今も全く同じ強度であること」で、「(俳優を)辞めちゃったら、生まれてきた意味が分かんないってぐらい。僕にとってはそういうもの」とキッパリ。〝生涯イチ俳優〟だ。

 2月17日、都内で授賞式を開催する。受賞は以下の通り。

作品賞 「国宝」(李相日監督)
監督賞 山田洋次監督「TOKYOタクシー」
主演男優賞 妻夫木聡「宝島」
主演女優賞 広瀬すず「ゆきてかへらぬ」「遠い山なみの光」「片思い世界」
助演男優賞 佐藤二朗「爆弾」
助演女優賞 森田望智「ナイトフラワー」
新人賞 渋谷龍太「ナイトフラワー」
外国作品賞 「教皇選挙」