東京スポーツなど在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成される東京映画記者会は28日、選考した「第68回ブルーリボン賞」各賞を発表した。「宝島」の妻夫木聡(45)が主演男優賞を獲得。2010年度の第53回で主演男優賞を受賞しており、2度目の戴冠となった。妻夫木は劇中の舞台となった沖縄や自身の子どもへの思いを明かした。
同作は、作家の真藤順丈氏による直木賞受賞同名作の映画版。戦後の米国統治下で混沌とした沖縄を背景に、自由を求めて駆け抜けた若者たちの友情と葛藤を描いた。
妻夫木は第53回で受賞したことに「当時のマネジャーと初めてもらった賞だった。評価してもらえた気がした」と思い出して涙ぐみ、2度目の受賞には「僕個人でもらった気がしない。スタッフやキャスト、もう沖縄の人全員ともらった賞かもしれない」と感謝した。
役作りで訪れた沖縄の美術館には、シムクガマとチビチリガマの絵があった。ともに沖縄・読谷村にある洞窟だが、チビチリガマでは1945年、米軍が迫ってきたことを受け、集団自決があったことで知られる。
妻夫木はチビチリガマの絵を見て「壮絶」だと感じ、「動けなくなって、泣いてしまった。これが演じる上での核になった。撮影中も何度か訪れては気を引き締めていた」と告白。沖縄に寄り添い、演じ続けた。
タイトルにちなみ、一番の〝宝〟は「家族」だと即答した。
「子どもができて、生き方が変わった。それまでは、どこかで『いつ死んでもいい』と思っていたけど、子どもができたら『死ねないな』と思った。この子とずっと生きていきたい。この子が笑顔でいられるように、自分がどうあるべきかを考えるようになった」。目を潤ませつつ、妻で女優のマイコ(40)とともに2児を育てるパパの顔をのぞかせた。
実直な姿や考えとともに過去作での熱い人柄もうかがわせた。
教師役を演じた主演映画「ブタがいた教室」(08年)では、「1回マジで怒った時があります。パンを投げて遊ぶ子どもたちに『命を扱うこと(作品)をやってる俺たちがこんなんでどうするんだよ!』ってブチ切れた」。その後、泣きながら謝りに来た生徒を見て「かわいくて、あの時は『先生やりたい』って思った」という。「けど、毎日はムリかも」と笑いを交えて振り返った。
日本を代表する俳優になったが、今後も「初心忘るべからず」とおごることはない。
「演じる上での覚悟はずっと考えている。どこまで自分を追い込めるか、それをできる覚悟ですよね…。なかなか難しいですけど」
妻夫木が垣間見せた〝俳優魂〟は沖縄の青い海、空のように澄み切っていた。
2月17日、都内で授賞式を開催する。受賞は以下の通り。
作品賞 「国宝」(李相日監督)
監督賞 山田洋次監督「TOKYOタクシー」
主演男優賞 妻夫木聡「宝島」
主演女優賞 広瀬すず「ゆきてかへらぬ」「遠い山なみの光」「片思い世界」
助演男優賞 佐藤二朗「爆弾」
助演女優賞 森田望智「ナイトフラワー」
新人賞 渋谷龍太「ナイトフラワー」
外国作品賞 「教皇選挙」













